【JN】長男と日本人ラッパー【男主】 (ページ13)

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午前中は早朝から作業室でずっと某女性シンガーへ提供する曲作りをしていた。締切は3ヶ月後。まだまだ先のように思えるがラップ以外の音楽作りはまだ難しくて中々進まない。

しかも今まで書いたことのない恋愛ソングときたもんだ。青春時代はあったことはあったのだけれどいかんせんラップにのめり込んでいた僕に恋愛なんて程遠いものだった。初恋もまだなのにどうしたものか。想像だけでの歌詞作成は果たして間に合うだろうか。

いや、間に合わせなきゃ話にならないんだけど‥‥横の時計を見ると14時。疲れたし一旦家に帰るか‥‥

ソンPDが僕だけの為に用意してくれた作業室を後にしマネヌナにマンションまで送ってもらう。朝から何も食べてないでしょ？なんて渡してくれたサンドウィッチを有り難く貰い車を出る。外はもう冬も終盤だというのにまだ白い息が出る。

ダイニングテーブルでマネヌナから貰ったサンドウィッチを食べる。
事務所の近くの最近できたカフェで買ったようでモソモソと食べながら店のシンボルが描かれている袋を見る。
こっちに来てから身近な人の手料理なんて食べていないな、、なんて悲しいことを思う。

寝室に向かいベッド横のテーブルの締まりきっていない引き出しをなんとなく引く。そこには韓国に来てから勉強に使った資料やら書き込まれたノート、歌詞をずらずらと並べているルーズリーフなんかが詰まっていた。

［わ〜‥‥この引き出しだけ汚ねえ‥‥］

久々に出た日本語はなんだか不自然で鼻で笑ってしまう。それにしてもこれはナイ。良い加減捨てて良いと思うが何となく捨てれない紙の束達。ゴソゴソ漁り進めて行くと透明の袋に包まれたモノがノートとノートの間から出てきた。

［‥‥あ、これ、］

1週間ほど前に自販機前で会ったソクジンさんにほぼ無理やりあげたあのストラップ。

［あは、こんなとこにいたのか、お前］

なんだか急に愛おしくなって袋から取り出す。昨日届いた今後また愛用するであろうショルダーバッグに付ける。
プラプラと横に揺れるそれはソクジンさんにあげたものよりまだ綺麗でどうせならこっちの方をあげれたらよかったのに。

「‥‥‥‥あー、眠っ」

ベッドに沈み横の大きな窓から見える明るい街並みを見る。ソウルを一望できてるのではないかというほどよく見える沢山のビル達。彼らも寒そうだな。重くなってきた瞼を抵抗する事なく閉じる。

今日も深夜、ラジオの生放送がある。

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