【JN】長男と日本人ラッパー【男主】 (ページ12)

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日本人ってのを隠したいわけじゃない。別に聞かれたら何の躊躇もなく答えるけど、聞かれることも少ないし。なにより「周りの人が僕を日本人だということに気づかない」それが僕には自信に繋がった。

兵役も無い。僕の事務所の俳優人の先輩方は時折、兵役により席が開く。

でも僕にはそれが無い。「兵役が面倒だから国籍を移さないのか」なんて言われることもあるけどそうじゃない。
日本には家族が残っているし、あいも変わらず日本人である自分が好きで誇りに思っているから。
それは事務所スタッフも俳優人もソンPDもよく理解してくれているから、外野から何を言われても怖くはない。

そんな異国で働いている僕だけど、周りの人間に恵まれて何不自由なく活動できている。
でもそんな僕にもひとつ小さな悩みがある。

それは「同業者との関わりが薄い」って事だ。

もちろん事務所には俳優ニム達しか居ない。いや、それが嫌だって訳ではない。すごく可愛がって貰っているし日本人でアーティストの異質な僕に優しく接してくれるかっこいい方達ばかりだ。
だけど同業者がいないってことは音楽を作る中でできる悩みや愚痴を話せる人がいないって事。
デビュー前、売り出し方を決めている最中。近代のKPOPアイドルの様にアルバムのタイトル曲によってコンセプトを変えたり、トレカやポスター、グッズまでもそっち寄りにした方がファンも推しやすいだろうという結論に至った。

しかし音楽番組への露出は控えようということになった。いくらアイドル寄りと言っても所詮はラッパー。そこに区切りをしっかり付けないと何を言われるか分からない。というのがソンPDの意見だった。
しかも僕は1人でグループじゃない。

音楽番組に出ない代わりにコンサートやライブ配信に力を入れよう。ということになった。結果は上場で普通ならほぼ男性ファンしか付かないアングラなコンテンツでも女性ファンがかなりついた。今のところ男女比率は半々ぐらい。
でもその決断が思ったよりも大きかった。
たくさん音楽番組等に出演していたら出来ていた交友関係もあっただろうな。なんてたまに考える。
デビューして2年立った頃合いにラジオ番組のパーソナリティが決まった。それでさらに、今まで寄り添ってくれたファンと、また新たなラジオリスナーとの交流が増えた。放送開始から一年弱経つ今、ファンとの距離はだんだんと近くなるけど、活動を頑張るごとに遠のいて行く同業者との距離はどうしようもなかった。