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如何やら、私以外の女性陣も試したものの全く効果がないそう。
あれ?此れは詰んでいるのでは…?
そう思ったが、周りに促される為泣いている赤ちゃんを抱っこする。
「大丈夫ですからね〜。直ぐにお母さんが迎えに来てくれますよ〜。」
「きゃっきゃ!」
「す、すごい…!」
そっと、抱き寄せ声を掛ける。その間も笑顔を絶やさずに。
そうすると、泣き止み笑い出す。それに感嘆をもらす敦君。
「やはり、石燕でないと駄目だな。」
「そのようだね。我々では赤ちゃんには刺激が強いらしい。」
まぁ、確かに顔は良いお方が多いですもんね。赤ちゃんも緊張してしまうのでしょう。
そんな事を思っていると、赤ちゃんが自分の髪に手を伸ばしているのが目に入った。
「これが気になるんですか?」
簪を指差しながら聞けば、目をキラキラさせている。
んー、この様子を見るに触ってみたいのでしょう。
この簪は、先端に飾りがある。それは、珊瑚朱色の玉に紅葉の飾りがぶら下がっている物だ。
気になるのもしょうがないと、思いますが…。
「申し訳ありませんが此れは貸せれません。」
そう言えば、シュンとなって今にも泣き出しそうになって来た。
その様子を見て慌てる探偵社内。
ふむ…。代わりに此れを貸しますか…。
「これで如何ですか?」
そう言い、刺繍の入ったハンカチを渡すと忽ち笑みが溢れる。
「「「…よかった…。」」」
ホッと肩を撫で下ろす皆さん。余程、泣かれて良い思いをしなかったのでしょうね。
二時間もすれば保護者の方が迎えにいらっしゃいました。
「こんなお高い物は要りませんよ!寧ろ此方が御礼をしないとならないのに…!」
「いえいえ、高が壱万円程ですから。それに、今お子様から取った方が大変だと思いますよ。」
でもでも、と渋る親御さん。本当に安物だから良いのですが…。(金銭感覚が可笑しい石燕)
なので、代わりに良い子に育てて下さい。と、約束をして解散となりました。
「石燕さんって、感覚狂ってるんですか…?」ヒソヒソ
「そうだ、だから慣れろ」ヒソヒソ
「何か?」
「「否、何も。」」
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作者名:楓 | 作成日時:2021年4月11日 11時