110 夢主side ページ11
「石燕さんは優しいですね」
後半からどんどん声が小さくなっていく敦君。
私が優しい…?
ただ、私は彼を軽く投げたが全く起き上がらなかったから不安になって声を掛けただけなのですが…。
「私は、優しさを持って接したわけではありませんよ?」
「いや、……あのっ、違くて…」
益々判らなくなっていってしまう。違うなら何を感じたんだろうか。
「あんなに、僕に優しく声を掛けてくれた人は初めてで…。」
「_____え?」
ただ、私は国木田さんに探偵社の看板を汚すな、と耳にたこができるくらい言われていた。
だから、一般人が怪我をした、なんて耳に入れば面倒になると思ったから声を掛けた。
そんな不純な動機だったのに、それを優しさと捉えるとは…
「なんだか、自分が莫迦みたいですね。」
「あははっ、そうですね!」
そう二人で顔を見合わせて、周りに人が居るのに大きな声を出して笑った。
…でも、時折見せる彼の顔が暗い。
そういえば、辛い時は誰かに話すと良かったはず。
笑い終えたら、提案してみましょう。
17人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:楓 | 作成日時:2021年4月11日 11時