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医務室前に座り込む敦。その様子はどこか浮かないようだった。




「また面倒を持帰ったな。」



そんな様子の敦に声を掛ける国木田。そして、蓄電池を抜いてある携帯電話を敦に投げた。




「…僕がもっと早く気づいていれば…。」


そんな言葉が、医務室の中で少女の様子を監視している石燕に届いた。




「(敦君…)」




敦に厳しい言葉を掛けている国木田の様子も伺えた。
そんな時、少女の目を覚まそうとしていた。





「!与謝野先生。」

「はいよ。」



返事をして席を立つ与謝野。国木田達を呼びにいっていた。





「はじめまして。私の名前は鳥山石燕です。」

「!…綺麗…」ボソ




そう言いこぼす少女。






「うふふ。ありがとうございます。
貴方の御名前を聞いてもよろしいですか?」

「…泉鏡花。」

「鏡花ちゃんですか。よろしくお願いしますね。」






ふんわりと笑う石燕に、見惚れる鏡花。



数秒経ち、敦と国木田が入ってきた。





「……大丈夫?」




ベッドに横たわる鏡花にそう聞く敦。敦達を警戒しているのか、何も喋らない。

敦は少しでも警戒を解かせようと声掛けを続ける。しかし、国木田が鏡花に対して強く言う。





「「く、国木田さん/国木田さん…。」」





その様子に口を挟む敦と石燕。




「…橘堂の湯豆腐」

「へ?」

「お豆腐ですか?」




石燕が確認するように問えば、おいしい。と、答える鏡花。





「食わせろ、と云う事か?」

「食べたら話す。」

「なあんだ。良いよその位。」







鏡花の案に了承する敦を見て国木田は、コイツマジか。と云う顔をしていた。



「敦君…。」

「……え?」





敦に対し心配そうに云う名を呼ぶ石燕。敦はどんどん混乱していった。




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作者名: | 作成日時:2021年2月28日 20時

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