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「大分片付きましたね。」
「あぁ。」
どこか浮かない顔をしている国木田。きっと、彼はこれから自分が挨拶回りなのが嫌なのだろう。
「国木田。頼んだよ。」
「国木田さん!頑張ってください‼僕、応援してますから!」
同情する様に言う与謝野と、元気いっぱいに言う賢治。
国木田の顔はもっと、げんなりとしていた。
「国木田さん。菓子折り一緒に買いに行きましょう。
そして、挨拶も分担しましょう。」
そうすれば、少しは予定通りになりますか?と、眉を下げて聞く石燕。
「…いいのか?」
「えぇ。普段お世話になっていますから、そのお礼です。」
石燕の言葉に涙する国木田。
彼はいつも苦労人だ。太宰を仕事に引きずったり、後輩の育成をしたり、太宰を川から拾って帰って来たり、太宰に対しての苦情を対応したり、太宰が起こした女性問題の対応したり…
本当に、苦労人だ…。
そんな国木田をいつも助けるのが石燕だった。太宰に朝に電話して起こしたり、太宰がやらなかった仕事をこなしたり、太宰の女性問題の面倒な女性のカウンセリングをしたり…
「いつも、すまん…」
「あらあら。泣かなくてもいいのに…」
「石燕。言ってやんないであげな。」
男の自尊心を傷付けてるよ。と、石燕に言う与謝野。
「ほら、国木田さん。仕事は山積みなんでしょう?
行きますよ。」
「何故、太宰と長い仲なのにお前は良い奴なんだ。」
「うふふ、失礼ですねぇ。」
そう言い、探偵社を出て行く二人。
「(きっと、石燕が居なければ、国木田の胃に穴が空いていただろうねえ。)」
それはそれで、治療のしようがあるねえと、紅茶を飲みながらそう思う与謝野がいた。
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作者名:楓 | 作成日時:2021年2月28日 20時