26 ページ26
・
「また殺人事件の解決依頼だよ!
この街の市警は、全く無能だねぇ。
僕なしじゃ犯人ひとり捕まえられない。
でもまあ、僕の『超推理』は探偵社…いや、この国でも最高の異能力だ!」
皆が頼っちゃうのも仕方ないよねえ!と、高笑いをする乱歩。
乱歩の態度に誰も何も言わない事を敦は不思議に思っていた。
「乱歩さん。その足元の本、横の棚に戻さないと。」
片付けようとしていた本を踏んだ乱歩に言う敦。だが、乱歩は悪怯れる事なく、どうぞと、足を退かし敦を片付ける様促す。
「頼りにしています。乱歩さん。」
と、言う国木田に乱歩を注意すると思っていた敦は、驚いた。
「そうだよ国木田‼
きみらは探偵社を名乗っておいてその実、猿ほどの推理力もありゃしない。
皆、僕の能力『超推理』のお零れに与っている様なものだよ?
ねぇ、石燕‼」
「うふふ、そうですねぇ。乱歩さん。」
自信満々に言う乱歩。大分周りを馬鹿にしているが、石燕は兎も角、誰も怒らない。寧ろ、褒めちぎっている。
「敦君。ここはいいので、乱歩さんのお供をして下さい。現場は鉄道列車で直ぐの筈です。」
「ぼ、僕が探偵助手ですか?そんな責任重大な_______」
「真逆。二流探偵じゃあるまいし、助手なんて要らないよ。」
「え?じゃあ何故…?」
助けが要らないなら何故自分が必要なのか。素直に聞く敦。
「僕、列車の乗り方判んないから」
頭が痛くなりそうな敦だった。
「ふふ。敦君。乱歩さんの実力は凄い勉強になるものですよ。」
「よく判ってんじゃん!石燕!」
感心したのか、バンバンと石燕の背中を叩く乱歩。
「いってらっしゃい。敦君、乱歩さん。」
笑顔で言ってくれる石燕が、敦にとっては悪魔にしか見えなかった。
・
75人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:楓 | 作成日時:2021年2月28日 20時