2話 ページ29
私が聞いていい話だったのかな
だって、明らかにテヒョンさんが動揺してる。
さっきまでの楽しかった雰囲気が嘘みたいに静かで、居心地が悪い。
何も言わないテヒョンさんに、ジミナさんは笑う。
「女なんてもう懲り懲りだって言ってたじゃん。何回繰り返すつもりなんだよ！何のために、こんなとこに住んでっ！！」
「やめて！！！」
「…は？」
…え？
かちゃりと、金属音が聞こえた
「Aちゃんの前だよ。そんな話はしないで！！」
テヒョンさんが勢いよく立った。
と同時に服に引っかかって皿がひっくり返る
がしゃんっ
テヒョンさんのこんな声は初めて聞いた。
どう考えても自分は邪魔者なのに、この空気の威圧感に負けて身体が一ミリも動かなかった
「テヒョン…」
「嫌い…そんな話するジミナ、俺は嫌いだよ！！」
「…っ、」
ばたんと荒々しく扉がしまる音が聞こえた。
と同時に身体の力がぷしゅーっと抜けたようにソファになだれ込む。ああ、動悸がやばい。
落ち着かせようと下を向いて深呼吸をしたら、散らばった破片が目に入った。
…お皿、片付けなきゃ
こんな時にそんなことを思うなんて、私ってば、根っからの家政婦なのかしら。
かちゃり、かちゃりと破片を拾っていく。拾う度に、テヒョンさんの足が見えたけどどうしても顔が見れなかった。
「…テヒョンさん、怪我はありませんか？」
「…」
ない、のかな
どうしよう、なんて声をかけたらいいのか分かんない
私だって混乱してるのに
女なんて、って言ってた。
それのせいで、テヒョンさんは離れに住んでるの？
時々悲しい目をするのは、私が女だからですか？
ああ、心臓が痛い。
「…ごめん、Aちゃん
後、俺片付けとくから」
かちゃり、と私の隣でしゃがみこんで拾い始めるテヒョンさん
前髪で隠れて顔が見えない
…あ、
「な、泣いてますか？」
そ、と顔をのぞき込む
一人にしてって言われたような気がして、のぞき込んだ自分の行動は無神経すぎた。
「…ううん」
「大丈夫…ですか？」
「…うん、」
うん、って…
大丈夫そうには見えなかった。
「掃除機、持ってきますね。
あとまたオムライス作ります
えっと、材料余ってたかなあ…」
「Aちゃん」
ひたりと、人差し指で口止めさせられた
その指が酷く冷たいのは…
ああ、考えたくない。
テヒョンさんは、誤魔化すのが下手だ。
「海、楽しみだね」
こんな困った顔は見たくなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 674人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ティラミス(プロフ) - ジンニムと主人公ちゃんとテテの3人の会話が、というか主人公ちゃんが面白くてめちゃ笑わせてもらいました！笑後半からいろいろと悲しすぎて胸が痛かったです(；＿；)これからどういう展開になっていくのかすごく楽しみです！更新頑張ってください！！ (2018年4月5日 17時) (
レス) id: 8810c09dc0 (このIDを非表示/違反報告)
いくみん(プロフ) - パス解除待ってました~(T_T)また楽しみにしてますね! (2016年8月7日 21時) (レス) id: 970b4833a7 (このIDを非表示/違反報告)
どーん(プロフ) - ミョンファさん» 嬉しいです！！期待に答えられるよう精一杯やらせていただきます！ (2016年6月25日 11時) (レス) id: da3ea46b05 (このIDを非表示/違反報告)
ミョンファ(プロフ) - 今一番お気に入りのお話です！更新楽しみにしてますね〜＾＾ (2016年6月24日 2時) (レス) id: 9c6bf2f88d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：どーん | 作成日時：2016年6月7日 20時
