千と千尋の神隠しより「千尋とハクは許婚！？」part11

疲労困憊 ページ34

「ハク…？どうしたの？！えっ…ちょっと…大丈夫？」

こんな事態は初めてで。どうすればいいのか分からなかった。
ハクが倒れるなんて。龍が体調を崩すなんて相当だ。

「…熱い…」

彼の首元に触れた私は驚いた。
彼の身体はただごとではないくらい熱く。
高熱どころではなさそうだ。

「…ハク…聞こえる…？ねえ…大丈夫？」

急激に不安が心を支配する。
このまま死んじゃったら…

「…后様、ただいま医者が参りますので」

彼にしがみつく私に、局さんが声を掛けた。

「今まで…このようなことは？」

「いいえ。初めてです。…きっとかなりお疲れが出たのかと。」

やがて、再び女官達がざわざわし始め、王宮専属の医者が到着したようだった。
私はそっと肩に触れられ、離れるように促された。
…待って、ルイ達をなんとかしないと。

召使い達に運ばれるハクを尻目に、私は大広間へと戻る。

「…ごめんなさい…ちょっと今日はトラブルがあって…」

何故か涙が溢れてくる。
平常心でいたいのに。私は、王女なのに。
客人の前で泣くなんて。

ルイ「……どうしたの？」

「なんでもないの大丈夫…」

戻ろうとすると、誰かに腕を掴まれる。

沙羅「…いちばん大切な質問をしていませんでした」

沙羅は、口元は微笑んでいるのに目は笑っていなかった。

ルイ「沙羅。」

「あなたは、夫の事が好きなの？今もずっと。異様に距離が近いのはなぜ？」

ルイ「沙羅いい加減にしろ」

「あなたもよ！ルイ！この目の前の王女が好きなのか、はっきりして！！！」

ルイは、暫く俯くと、やがてゆっくりと沙羅を見つめた。

「…愛している。…彼女を。
…だけど…その愛は、君へ向ける感情とは違う。僕が恋をしたのは、君だ。沙羅。」

それだけ言い放ち、ルイは私の涙をそっと拭った。

「…ハクが倒れたの」

「…琥珀が？…体調を崩したの？」

「そう…すぐに行かないと」

「…お行き」

＊＊

「…ハク？」

「…千尋……なんでここにいるのだ？」

「なんでって…ハクが…あなたが急に倒れるからでしょ」

ハクは、自分に何があったのは全く把握していない様子で、ベッドのそばで彼に付きっきりでいた私を不思議そうに見つめた。

「…身体が石のようだ」

「まだ起き上がっちゃだめ。酷い高熱だったんだから」

そばに置いてある薬やら氷やらを指さすと、彼は寝転んだままそれらに目をやった。

「何時間経った？」

「もう夜中の1時。あなた、一日意識を失っていたんだよ」

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