迎えに来て ページ17
そして再びタミの見つめる書類に目を落としたが、暫くすると彼は立ち上がる。
「すまない。少し席を外す」
「えっ…ハク様…」
「タミ。分からないことがあれば後で聞きにきなさい」
＊＊
…良い風…
こんなに広い草原の中に居ると、嫌なこと全部忘れちゃいそう…
裏庭では、もう湯女達がガールズトークを繰り広げていたので商店街を抜けて広い草原まで降りてきたのだが、なんかやっぱり…悲しい…
崖のようになっている斜面に座り込む。
「…ちゃんと休むからって言ったよね？」
背後から突然声をかけられ、慌てて振り向く。
…ああ…ハクか…って、え？何で？
しかもちょっと怒ってる…
「…何で居るの？」
「…質問に答えろ」
「…休んでるよ。ちゃんと」
「こんなに風の強い場所でわざと身体を冷やすような真似をしてか？」
…めんどくさい。カチンとくる言い方をされ、私は彼から顔を逸らして黙り込んだ。
両足を抱えて膝に顔を埋める。
「…拗ねているの？悪阻？どっちだ」
ハクは隣に座り込んで、私の背中に片手をあてる。
「…可愛い新入りちゃんは置いてきたの？ハ・ク・さ・ま・」
「何。拗ねているだけか」
「拗ねてない」
「…帰ろう。身体が冷える」
「…嫌」
「千尋」
ハクは、呆れたように溜息をつくと、私の肩に自分の上着をかける。
「…本当に。頼むから」
「……」
「…おい」
彼の声がワントーン下がった。
…やばい雰囲気は察していたのだけれど。
バシッ……
風を切るような鋭い音が響いたかと思うと、頬に痛みが走る。
「良い加減にしろ！！！！そなたは…母親としての自覚も無ければつまらない事で直ぐに拗ねる！！！…あの新入りの少女の方がよっぽど気立ても良ければ頭も冴えているようだな！！！…もう私は知らぬぞ！帰りたく無いなら帰ってくるな！！！！」
そんな厳しい言葉を私に言い放つと、彼は足早に私の前から姿を消した。
振り向くと、早歩きで向こうへ行ってしまう彼の背中が見える。
「ハク…」
「待って…っ…」
必死に彼を引き留めようと名を呼ぶが、振り向いてはくれない。
「ハク…っ…お願い…」
急斜面になっている所に座り込んでいたので、地面に手をついて立ち上がろうとする。
ズルッ……
「きゃっ！！」
地面がぬかるんでいた為、私は片足を滑らせて勢い良く斜面から滑り落ちた。
右足をあらぬ方向に捻ったのが分かる。
しかも落ちた時の衝撃で、頭を軽く岩に打ち付けた。
片手は自然に腹部に伸ばされる。
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やっさん(プロフ) - なるほど。結婚してから、王位を継ぐの理由のひとつに、一人では、王の仕事が多すぎて、手に負えない事情も、あったのですね。二人で協力して、やっとなんとかなる激務、王様も楽ではない汗汗。 (2020年6月26日 20時) (
レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - ゆきさん» ちょっとし、思いっきりですが、リクエストよいでしょうか？龍神屋敷の、設定で、千尋が、家臣の扱い方が、わからないために起こした、お笑い騒動を書いてみてはどうでしょうか。どんな、騒動が、あったか興味があります。 (2020年6月8日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 千尋とハク様が、龍神お化け屋敷に、帰るのですね。ルイと沙羅姫様の問題にも決着をつけるべきですし、まだまだ、前途多難の波瀾万丈ですね汗汗。余談、千尋さん、女官の方々をうまくつかえるのか??千尋が、屋敷に珍騒動を巻き起こすか(^^;;。 (2020年6月3日 21時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 千尋とハクの子供が、危ない汗。確かに、千尋とハクの子供には呪いが... 。呪いをとかないまま子供を作るのは、無謀なのか!?!? (2020年5月23日 22時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - 早う、暖かくして上げて！！！ (2020年5月22日 17時) (レス) id: a86d5a1323 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Yuki | 作成日時：2020年2月10日 1時
