蝶屋敷 ページ15
「こんにちは」
「あら？こんにちは！お久しぶりです！」
「アオイさん！お久しぶりです！」
「この度は、炎柱様のこと…お悔やみ申し上げます」
アオイさんも、やっぱり少し寂しそうにしていた。
「あまり話したことは多くはありませんが…柱になられる前、大怪我をして運ばれてきたことも何回かありました。怪我してるはずなのに、すごく元気で驚きました」
「ですよね、煉獄さんいっつも元気なんです」
笑い合って、ふとアオイさんが思い出したように言う。
「そう言えば今…炎柱様と最期に一緒に居た方々がいらっしゃいますよ。初めてお会いしたにも関わらず、すっかり慕われてた様子で…悲しんでいました」
「そうなんですね…」
「アオイ、なほが探してたよ」
「あ、カナヲ！ごめんなさい、すぐ行くわ。代わりにAさんをしのぶさんのところへ連れて行ってくれない？」
「分かった」
「久しぶり！カナヲちゃん！」
「久しぶり。一年ぶりくらいかな」
カナヲちゃんは柱の継子同士ということで面識があり、一緒に稽古したりしたこともある。
「入隊したんだよね、おめでとう！」
「ありがとう」
カナヲちゃんはすこし表情が分かりにくい。つかみ所の無い不思議な子。
最初は話すとき戸惑ったけど、今では少しずつ打ち解けはじめている。
「恋柱様は元気？」
「あー、今はちょっと落ち込んでるけど、師範のことだからすぐ元気になると思う。しのぶさんは？」
「いつも通り。疲れてる」
「それいつも通りなんだ」
そんな世間話をしながら、診察室へ向かう。
「あら、こんにちは」
「こんにちは、しのぶさん！ご無沙汰してます！」
「お久しぶりですね。久しぶりに会って何ですが…お悔やみ申し上げます」
目を伏せて哀しい表情をするしのぶさんは、一八歳には見えないくらい大人っぽく見える。
「腕の骨にヒビが入っているとお聞きしましたので、お薬を渡しますね」
「ありがとうございます」
「そう言えば、甲に昇進したとお聞きしましたが」
「ああ、そうなんです。かなり前ですけど」
「なかなか会うことがありませんでしたからね。おめでとうございます」
「ありがとうございます！最近は怪我少なかったので！」
「ふふ、それは良いことです」
「九つ揃っていた柱にもひとつ、空席ができてしまいましたが…もしかしたら貴女が座るかもしれませんね」
「煉獄さんの後釜なんて恐れ多いですよ」
「…でも、頑張ります！」
「ふふ、頑張って下さい。無理はしないで下さいね」
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作者名：merry | 作成日時：2020年12月13日 23時
