激励に、応えてみせますから ページ14
「おはようございます」
「おはようございます。お体の具合はどうでしょう?午前中にはお医者様に診察に来ていただけるようなので…」
「そうですか、ありがとうございます!」
あれから近くの藤の花の家に行き、一晩泊めて貰った。
他の隊士たちは重症の者も多く、蝶屋敷に運ばれたとか…しのぶさんも大変だよなあ…
それなりに日も昇った頃。
縁側で頂いたお茶を飲んでいた時だった。
「──カァァ!カァァ!」
「何?どうしたの?」
本部の鎹烏がやってきて、告げた。
「──炎柱、煉獄杏寿郎─上弦ノ参トノ戦闘ニヨリ──」
───死亡
「………嘘、でしょ……?」
目の前が、真っ暗になった気がした。
──また今度菓子も作ってくれ!俺と甘露寺でたらふく食べてやろう!
──よく持ち堪えた!もう大丈夫だ!!
──その礼は、君が柱になった時にでもまた聞かせてくれ
「煉獄さん……」
何もおかしなことじゃない。
鬼殺隊を支える柱でさえ、むしろ柱であるからこそ、常に命の危険に晒されている。
何時、誰が、居なくなっても、会えなくなっても仕方ない。
でも、煉獄さんは──
あんなに、強くて、煉獄さん、そんな……
また、って言ってたのに……
「炎柱カラ、階級甲、久賀Aヘ!伝言!」
「伝言…?」
「君ハ──」
『──君は強い。俺ごときの死で止まることなく、前へ進んで行け』
「っ……」
煉獄さんはきっと、私に兄のような存在として慕われているのを自覚していた。自分の死で私が蹲ってしまうんだろうと見越していた。
死に際に、私なんかのために激励を…
「…分かりました」
「……煉獄さんの、私の師匠で兄の煉獄さんからの、最期の激励ですもんね」
「ちゃんと、見ててくださいね」
必ず、応えてみせますから。
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「お世話になりました」
「いえいえ。ではお気をつけて、行ってらっしゃいませ」
「はい、ありがとうございました!」
煉獄さんの死から、五日。
軽く骨にヒビが入っていただけのようだった私は、診察の結果、とりあえず屋敷に帰る許可がおりた。
ただ、もう一週間は安静にしておくようにとは言われたけど。帰りに蝶屋敷に寄って薬貰お。
「あ、桜餅」
町を歩く途中、桜餅を売っている和菓子屋を見つけた。
師範、落ち込んでるだろうな……
手紙は寄越してくれたけど、やっぱり堪えていた様子だった。
少しは元気になって貰えるように、と願って財布を取り出した。
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作者名:merry | 作成日時:2020年12月13日 23時