柱の背中 ページ12
「──なかなかすごい技じゃないか!!ギリギリだったなァ!」
傷を負いながらもしっかり地に足をつけて立つ一体の鬼の姿。
「はぁっ、は……あー、失敗か…」
なんて言ってる場合じゃない。
痛む体に鞭打って、息つく間もなく飛んでくる五体の鬼の攻撃を捌いていく。
そろそろ技の反動が来始めた。この状態で、煉獄さんが来るまで耐えきるしかない。
「げほっ、あー、苦し、」
──炎の呼吸、肆ノ型──
酷使した肺が痛い。
腕の筋肉が悲鳴を上げているのが自分でも分かる。そう言っても退くことはできない。
「っ、炎の呼吸、不知火──!………っ!!」
隊士たちに向けられた攻撃を捌いたつもりが、横からもろに攻撃を食らってしまった。
「っ、た……」
骨が折れたのか、左腕が少し不自然な方向へ曲がっている。
「ケヒヒヒヒッ!弱っているな!?今のうちだ!」
「舐めんな!手負いでも勝ってやる…!」
──炎の呼吸、参ノ型……
「──っ!?」
いきなりガクッと膝から力が抜け、思わず地面に膝をつく。
「っ、まだ……!」
まだ動いて…私の脚…!
このままだと全員死ぬ……!
「んん〜?!限界かァ〜?」
「案外なんてことなかったなぁ!」
「お前ら!のんびりしてねェでトドメ刺すぞ!」
間に合わな──
ゴォォォォォ────!!
突然、視界に鮮烈な赤が写った。
「遅くなってすまないな、A」
私と隊士を庇うように立ちふさがる、大きな背中と、はためく白い羽織。
「れ、煉獄、さん……」
「よく持ち堪えた!もう大丈夫だ!!」
あぁ、かっこいいな。
柱の背中って、どうしてこうも人を安心させるんだろう。
──炎の呼吸、伍ノ型、炎虎
奥義も出さずに、一瞬で私より強い攻撃を繰り出す煉獄さんを後ろから見る。
私もいつか、こんな風に人の前に立って、背中で安心させられる剣士になれるかな。
15人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:merry | 作成日時:2020年12月13日 23時