Like Salome 22 ページ13
放課後、坂下に連れられてきた
京都府警の一室。
鍋島、小野、火村、有栖に
これまでの捜査の経緯を説明する。
大した経緯ではない。
被害者の勤務先を聞き、
店長にだけ被害者が亡くなった旨を伝え
アルバイトという体で、情報を集めさせてもらった。
ということだけ。
有栖と小野の、心配そうな視線を
みえないふりで、鍋島に伝えた。
「坂下っお前阿保か！！！」
経緯を聞いて、鍋島の怒鳴り声が響き、
坂下の頭に拳の鉄槌が落ちる。
「…っ」
「違法捜査や！」
殴られた部分を両手で抑える坂下に、
追い打ちをかけるように鍋島は怒鳴る。
『あ、いえ、鍋島警部さん。
恵一君は悪くなくて…わたしが…。』
「いえ、今回はAさんが何をおっしゃってもあきません！
Aさんにおとり捜査や潜入捜査みたいな真似させてっ
何かあったら、どないするつもりやったんや！」
今度は、後ろ頭を平手で打つ。
「…すみません。」
坂下は姿勢を正すと、鍋島に頭を下げた。
『鍋島警部さん…あのっ
おとり捜査なんて大げさなものでなくて、
私が勝手にお店でアルバイトを…。』
怒りをこらえきれない様子の鍋島を止めるように、
Aは鍋島の服の袖を掴んで言った。
鍋島はAの手を外すと、
冷静を取り戻すように息を吐く。
「Aさん。」
『はい。』
「今回の事は、坂下が悪いです。
ほんまに、申し訳ございません。」
『違うんです。』
「違いません。
たとえ、Aさんから協力を申し出てくださっていたとしても
坂下が知っていてご協力いただいた以上、
止めんと、そのままお願いしていた坂下に責任があります。」
『ですが！』
「何も起こらんでよかった…。」
安堵したように言う鍋島が、唇をかみしめたので
何も言えずにうつむく。
「Aさん、ご協力には感謝してます。
ですから…こんなこと言いたないですが。」
『はい…。』
「今回の事件は、安全なところにおってください。」
遠回しに告げられた、
戦線離脱命令。
『…はい…すみませんでした…。』
頭を下げたAに、鍋島は苦し気に頷くと、
坂下の首根っこを掴み、
「お前は、始末書や！」
と言って部屋を出て行ってしまう。
恵一君。
ごめんなさい。
巻き込んでしまった申し訳なさに耐えるように、
閉まってしまったドアを見つめながら
唇をきつく噛んだ。
…でも、ちょうどよかったのかもしれない。
きっかけがないと、いつまでも彼との約束に届く気がしないから。
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結姫(プロフ) - 黒猫さん» 黒猫さん、コメントありがとうございます！わたしも機種変で久しぶりに占ツクを開きました。久しぶりに読み直して更新してみようかなーと思う温かいお言葉ありがとうございます (2021年11月30日 22時) (
レス) id: 3be09aaa01 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 。久しぶりに占ツクを開いて、初めから読んでいますが何度読んでも、この回と今？最新のあたりはちょっと苦しくなるくらい物語に没頭してしまいます。つい読み返してしまう作品です。あまり頻繁には読めていませんが、面白いのでこのまま最新まで読み進めたいと思います (2021年11月5日 2時) (レス) id: 65cf13def1 (このIDを非表示/違反報告)
結姫(プロフ) - みほさん、ありがとさんです♪11も今晩には公開予定です＾＾ (2017年4月7日 11時) (レス) id: aa658a14f4 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 10巻完結おめでとうございます！！11も楽しみにしています♪ (2017年4月7日 10時) (レス) id: ffa53d8167 (このIDを非表示/違反報告)
結姫(プロフ) - アソパソマソさん» アソパソマソさん、それです(笑)と言うことで、分岐点は13の予定…。着実にシャングリラの……あとは読んでいただいてのお楽しみ♪ (2017年4月7日 7時) (レス) id: 2910946d8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：結姫 | 作成日時：2017年3月6日 22時
