【文アル】中野重治、光に触れる (ページ6)

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何度でもページ6

図書館内に真昼の太陽の光が差し込むと、静かに涙を流す中野を煌々と照らし続けている。

フユヒ『中野、先生…』

フユヒがそっと、俯く中野の頬に流れる涙を拭い、その目を見ようと近づこうとするが＿

中野『…!!見るな!!』

ﾊﾟｼｯと勢いよく、中野は自分の頬を触っていたフユヒの手を振り払ってしまう。

フユヒ『＿＿!!』

フユヒは振り払われた自分の手と、顔を背けている中野を交互に見て…

これまでに感情を噴出することはなかった目の前の中野にまた……“手を伸ばそうとする”。

フユヒ『……ごめんなさい、中野先生。もし、嫌だと思ったら…
この手を、もう一度振り払ってください(・・・・・・・・・・・・・)。』

中野の頬に向け、再度フユヒの手が伸ばされる。
……そして、中野は先程と同じように振り払わず、フユヒの小さくて白い手を“受け入れた”。

中野『司書さん…どうしてまた、手を伸ばしたの？
僕は…君の手を振り払った。

…司書の君を、拒絶したも同然だよ。

それなのに……どうして君は………。』

自らが【光】となって、僕のような存在にも手を差し伸べてくれるのか＿＿＿。

そう言葉を紡ごうとするが、無意識のうちにｷｭｯと唇を結んでしまう。

＿＿あぁ、そうだ。

言わなくても…分かる。

彼女は言葉で表明しなくとも、まさに“光”そのものだからだ。

フユヒ『…貴方を見過ごせない。苦しんで、苦しんで…暗い闇に堕ちようとする貴方を助けたいから…。
私はずっと手を伸ばし続けます、何度でも。

何度この手を振り払われようと、私は……

“大切な文豪の皆さんを救ってみせます。”』

いつもの淑やかな雰囲気とは違う、凛とした表情と目で、中野の迷う瞳に訴えかけてくる。

＿＿＿＿＿＿……

＿＿その時に、中野の心に思う事が確信に変わった。

……彼女は…フユヒは僕達の事を信じているのだと(・・・・・・・・・・・・・)。