【文アル】中野重治、光に触れる (ページ4)

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天邪鬼の見抜きページ4

その頃、フユヒの元から離れた中野は黙々と本を本棚に戻す作業を繰り返し行なっていた

……自分からほんの少しだけ遠いところにいるフユヒを、時折横目で見つめながら一人考えている。

中野(……ああは言ったものの、僕だって彼女に僕だけの隙なんか見せたことがない。

＿＿＿“天邪鬼”だな、僕は。

自分の放った言葉がそのまま自分の心臓に向かって鋭利な刃物のように深く刺さっていることなんて、分かっているのに。

＿＿＿でも)

中野はｷｭｯと唇を結ぶ

とりあえず、今は…この手伝いという名の仕事を終わらせようか。

＿＿＿＿＿＿＿＿…………

あれ＿＿＿＿？

中野(そう言えば、前から気になっていたけど、

どうして助手の仕事を司書の彼女が1人で請け負っているんだ……？

ネコさんによれば、基本的に司書である彼女は一日ごとに助手となる文豪を任命したあと、
助手にこうゆう仕事を任せて彼女は彼女自身の仕事をこなさないとダメなんだ)

＿＿＿＿＿＿＿＿………

＿＿＿＿まさか…!!!!

中野『司書さん!!』

中野の珍しい大きな声での呼びかけに、フユヒは肩をﾋﾞｸﾘと震わすが「は、はい！」と慌てて振り返り、駆け寄ってくる

フユヒ『どうかしましたか？中野先生。』

……時々、こちらを見つめるフユヒの幻惑されるようなアメジスト色の瞳は、何故かふわりと酔わされるような感覚に陥る感じがする

このままでは、意識が違う方向にいってしまう。

中野はｸﾞｯと意識を保つと、目の前にいるフユヒに向かって疑問をぶつけた

中野『…さっきの僕が君に向けて言った言葉。

“君はどうして自分の隙を見せないのか”ってやつのことなんだけど…

＿＿強がっていないでよ(・・・・・・・・)。

君はこの図書館の皆をなんだと思っているんだい？

君は……僕らのことを信じていないのかい(・・・・・・・・・・・・・・・)…？』