【文アル】中野重治、光に触れる (ページ3)

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自分の隙ページ3

早朝の太陽の光がカーテンに反射し、微睡むような温かさへと調和された日差しが図書館の館内に照らされる

フユヒ『中野、先生……？』

静かに見つめ、どこか訝しげに探るような中野の眼光にフユヒはハシゴから降りる手を止めてしまう。

中野『………は、』

フユヒ『え…？』

中野『君は、どうして…“自分の隙を他人に見せないんだい？”』

…空気に舞うほんの小さな埃が、距離の空いた二人の間を通り抜ける
フユヒを見上げる中野の放った一言は静寂に満ちた図書館に木霊した。

フユヒ『どういうこと、ですか？』

中野『………。』

少しの間、やっと言の葉を紡げたフユヒは中野の一言の真意を問おうとするが、中野は一つ瞬きをするとハシゴに掴まったままのフユヒに落とした本をｽｯと渡す

中野『…ほら、そんな所で固まってないで、早めに終わらせようか。僕もだけど、君にも君の大切な時間があるからさ』

ｽｩ…と感情が読めない薄い笑みを浮かべながら、硬直するフユヒに本を手渡すと、すぐさま背を向けて自分が作業していた本棚の方へと戻っていった＿＿＿＿＿

フユヒ(＿＿なぜ、どうして…先生はそんなに私を心配してくれるのですか(・・・・・・・・・・・・・)…？)