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「……なるほど。それで“女の子を宿屋に連れ込んでる”なんてメッセージが来たんだね」
「そんな書き方してないだろ!!?」
ぎゃーぎゃー喚くキリトを放って、私はシリカというらしい少女に右手を差し出す。
「……よろしく。私は、A」
「あ、あの、シリカっていいます。すみません、こんなことに巻き込んでしまって……」
「……気にしないで。キリトは超ド級のお人好しだから、何とも思ってないだろうし。むしろこき使ってやった方が喜ぶと思うから、こんなので良かったらいくらでも────」
「さっきからちょいちょい誤解を招く言い方なんですが、Aサン!!?」
すみません俺が何かしましたか、と涙目になるキリトににっこり笑いかけてやる。
…………するとなぜかシリカからもひぃっと悲鳴が上がってしまった(怖がらせてごめん)。
「……別に? キリトが受けた依頼のために、なぜか私が、アルゴから情報を貰うための対価として、新しく仕入れた情報の検証に“散々”付き合わされたことを怒ってなんかないよ??」
「すみませんでしたっ!!! お詫びにここの食事をおごります」
がばっとキリトが机に両手をついて頭を下げる。
私は、軽く咳払いをして、無駄に重々しく告げた。
「……うむ、よろしい。デザートもつけていいんだよね?」
「もちろん」
苦笑するキリト。
アルゴに付き合わされたのは事実だが、おごりは嬉しいので、私はあっさり機嫌を直してメニューを吟味し始める。
……やがて注文を終え一息つくと(ちなみにデザートはシリカおすすめのチーズケーキにした)、ウェイターが湯気の立つマグカップを3つ持ってきた。
目の前に置かれたそれには、不思議な香りの立つ赤い液体が満たされている。
キリトが自分の分を持ち上げて悪戯っぽく笑った。
「それじゃ、まぁ、《思い出の丘》攻略のためのパーティー結成を祝して。乾杯!!!」
「か、かんぱい!」
「……乾杯」
こちんとカップを合わせて一口すすると、スパイスの香りと甘酸っぱい味わいが感じられて美味しい。
シリカも眼を丸くしている。
「おいしい……あの、これは? このレストランにあるものじゃないですよね」
「NPCレストランはボトルの持ち込みもできるんだよ。俺が持ってた《ルビー・イコール》っていうアイテムさ。カップ一杯で敏捷力の最大値が1あがるんだぜ」
「そ、そんな貴重なもの……」
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moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 - 15-4〜16-7までの流れが、主人公の葛藤と矛盾が鮮明に描かれていて心に刺さりました。この作品面白いので更新頑張ってください。応援させていただきます。 (2018年11月14日 20時) (レス) id: 10e431e9a6 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - シリアス大好きです。この二人がこのあとどうなるのか気になります。更新お忙しいと思いますが、頑張ってください。楽しみにしてます。 (2018年11月6日 21時) (レス) id: 6cc7262479 (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - この作品、私のどストライクな作品です!!もう更新してくれないのでしょうか?続き楽しみに待ってます! (2018年10月28日 14時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
Kizuna(プロフ) - アリスさん、コメントありがとうございます!!!ヘ(≧▽≦ヘ)♪ そう言って頂けるととても嬉しいです…!前回更新からだいぶ長いこと時間があいてしまいましたが、またちょこちょこ書いていきますので、よろしくお願いします(*≧∀≦*) (2018年1月19日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kizuna | 作成日時:2017年4月9日 16時