番外編[たとえばシンデレラ��] (※5000,6000hit記念) ページ31
…………なんで、だろう。
最後に見たAの笑顔が消えない。
憎たらしいくらいに綺麗だった。俺が幸せになれると決めつけて、疑ってもいなかった。
でも、Aは？
…………物語の結末がどうなろうと“彼女は消える”。
妖精は、シンデレラを送り出すのが役目だから。それが済んだら必要ない。
………………彼女には何も残らない。その存在すら、跡形もなく。
(俺を幸せにできたら、それで良いって…………？)
笑ったのか。
あんなに綺麗に、俺の為だと、“決めつけて”───────
「ふざけんな……」
「え？」
「悪い“アスナ”！ やっぱり俺、お前とはいけない！！！」
すがる視線も、悲しげな表情も、何もかも振り切って走り出す。
『────幸せになってね。“キリト”」
なれるわけないだろ。
ぎりりと奥歯を噛みしめる。
…………何を勝手に決めつけてんだよ、俺の幸せを。
アスナの手を取ることで、どんな“幸福”が待っていたとしても。
…………そこにAが居ないんじゃ意味がないのに。
そんなの、俺にとっては──────
(なんで簡単に諦めちまうんだよ)
欲しいと手を伸ばすことを。
…………A自身が、幸せになることを。
「A────！！！！！！」
「…………？」
“シンデレラ”にはない行動を取ったからだろうか。
お城を出た途端、風景は色褪せ、モノクロの絵画のようになり。
足を前に踏み出すたび、ページをめくるように切り替わっていく。
けど、ただひとりだけを強く望んだせいか、
すぐにAを見つけることができた。
…………送り出された家の前。
あの時のまま立ち尽くすAは、まだ色彩を失ってはいないけど透けている。
「…………どうして、戻ってきたの」
彼女は怒っているようだった。
キッ、ときつい視線がこちらを射抜く。
「…………どうして、私を顧みるの。忘れてくれないの。貴方がそんなだから、私はいつも、“願いを叶えて消えるのがつらいのに”」
これは、妖精の本音だろうか？
…………それともAの………？
(どっちだっていい)
いま目の前にいるのは“A”なんだから。
俺も言いたいことを言おう。
「俺のせいにすんなよ。そんなの、最初から嫌だったに決まってんだろ。自分を犠牲にして叶えなきゃならない願いなんて、苦しいに決まってる」
「…………私は」
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moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 - 15-4〜16-7までの流れが、主人公の葛藤と矛盾が鮮明に描かれていて心に刺さりました。この作品面白いので更新頑張ってください。応援させていただきます。 (2018年11月14日 20時) (レス) id: 10e431e9a6 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - シリアス大好きです。この二人がこのあとどうなるのか気になります。更新お忙しいと思いますが、頑張ってください。楽しみにしてます。 (2018年11月6日 21時) (レス) id: 6cc7262479 (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - この作品、私のどストライクな作品です！！もう更新してくれないのでしょうか？続き楽しみに待ってます！ (2018年10月28日 14時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
Kizuna(プロフ) - アリスさん、コメントありがとうございます！！！ヘ(≧▽≦ヘ)♪ そう言って頂けるととても嬉しいです…！前回更新からだいぶ長いこと時間があいてしまいましたが、またちょこちょこ書いていきますので、よろしくお願いします(*≧∀≦*) (2018年1月19日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kizuna | 作成日時：2017年4月9日 16時
