11-3 (side.K) ページ4
ともに訪れた三十五層主街区は、白壁に赤い屋根の建物が並ぶ牧歌的な農村のたたずまいだった。
シリカと一緒に歩くと、あっという間に他のプレイヤーたちに囲まれてしまった(どうやら彼女は良い意味で名前を知られているらしい)。
……けれど、なかには好意的でない奴もいるようで。
「あら、シリカじゃない」
宿屋に入ろうとしたところを呼び止めてきたのは、真っ赤な髪を派手にカールさせた女性プレイヤーだった。
(────へぇ)
その顔を見た一瞬、俺の眼はひどく剣呑だったと思う。……気づかれないように取り繕うのを、苦労するくらいには。
「あら? あのトカゲ、どうしちゃったの??」
「死にました……っでも! ピナは絶対に生き返らせます!!!」
「へぇ、てことは《思い出の丘》に行く気なんだ。でも、あんたのレベルで攻略できるの?」
「できるさ」
意地の悪い問いかけに、シリカが唇を噛み締める──のを最後まで見ずに、背に庇って立ち塞がった。
途端、赤髪の女性プレイヤーの値踏む視線がこちらに向けられる。
…………その、心底他人を見下す態度に虫酸がはしると同時に、ほとんど直感で理解していた。
──────この女だ、と。
「そんなに難易度の高いダンジョンじゃない」
「フーン……あんたもその子にたらしこまれたクチ? 見たトコそんなに強そうじゃないけど」
背後で、シリカが俯く気配。
…………もう相手する気も失せて踵を返した。
「行こう」
「────っ」
泣きそうな顔をしたシリカを促して背を向ける。
ま、せいぜい頑張って?
…………と最後まで嫌な笑いを含んだ声が、振り切れず後を追いかけてきた。
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moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 - 15-4〜16-7までの流れが、主人公の葛藤と矛盾が鮮明に描かれていて心に刺さりました。この作品面白いので更新頑張ってください。応援させていただきます。 (2018年11月14日 20時) (レス) id: 10e431e9a6 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - シリアス大好きです。この二人がこのあとどうなるのか気になります。更新お忙しいと思いますが、頑張ってください。楽しみにしてます。 (2018年11月6日 21時) (レス) id: 6cc7262479 (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - この作品、私のどストライクな作品です!!もう更新してくれないのでしょうか?続き楽しみに待ってます! (2018年10月28日 14時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
Kizuna(プロフ) - アリスさん、コメントありがとうございます!!!ヘ(≧▽≦ヘ)♪ そう言って頂けるととても嬉しいです…!前回更新からだいぶ長いこと時間があいてしまいましたが、またちょこちょこ書いていきますので、よろしくお願いします(*≧∀≦*) (2018年1月19日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kizuna | 作成日時:2017年4月9日 16時