番外編[桜と月の下で��] (※3000,4000hit記念) ページ12
「そ、れは、どういう──」
「そのままサ。もう二度と会えなイ、触れられナイ。そういう場所に行ってしまうってことダ」
「…………っ、どうして、そんな話、俺に」
「さぁナー、なんでだろうナ。話したところで結末は変わらないんだっテ、オレっちは知ってるのにナ。それでモ────」
全部、終わった後で。
もしもAが帰ってくる方法が何かあったとしたら。
…………その時に、キリトが呼んでくれたなら。
「“帰ってきてほしい”とキー坊が願うナラ。あの頑固者モ、自分を赦せるんじゃないかと思っただけサ」
「……………………」
「ふふ、そんな顔するなヨ。単なる他力本願サ。……オレっちには出来なかったカラ、“最後”がやってくる前ニ、出来ることはしておこうと思ったんダ」
アルゴは何を知ってるんだろう。
“最後”って、なんだ。
─────わからない。けど、
「わぁっ、見て！ 桜吹雪！！！」
壮絶なまでに美しい、薄紅の乱舞が。
この先の未来を暗示している気がした。
いつか、“別れ”がやってくる。
(…………だって、何も知らない)
Aを知らない。
出逢った時から、彼女は。
……澱むことを知らない清水のように、
いつも何か揺るがない願いを抱いている。
……けれど今にも砕け散りそうな硝子のように、それは危うさも内包している。
いつか、その願いが。
彼女を──────────────
「……キリト？」
「──っ」
大丈夫？
と、いつの間にか近くまで寄ってきていたAが顔を覗き込んでくる。
「……どうしたの？ そんな離れたところに居ないで、こっちに来なよ」
「あ──」
ぐいっ、と手を繋いで引っ張られる。
あたたかい。ここに居るんだ。
いつかと同じ、手放し難いぬくもり。
…………なのに、遠い。
その“心”に触れられない。いつも。
それなのにAは、気紛れに俺を掻き乱す。今みたいに。
(…………─────、)
胸を裂く焦燥に突き動かされて、
届かない言葉を胸中で呟く。
…………声には出せないそれが、少しでも伝わればいいのにと。
柄にもないことを思いながら。
桜と月の下で笑う、
かけがえのない仲間たちのところまで。
…………胸に巣食う不吉を拭いきれないまま、
切なさに痛む心を抱えて、
Aに手を引かれて歩いた─────
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moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 - 15-4〜16-7までの流れが、主人公の葛藤と矛盾が鮮明に描かれていて心に刺さりました。この作品面白いので更新頑張ってください。応援させていただきます。 (2018年11月14日 20時) (レス) id: 10e431e9a6 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - シリアス大好きです。この二人がこのあとどうなるのか気になります。更新お忙しいと思いますが、頑張ってください。楽しみにしてます。 (2018年11月6日 21時) (レス) id: 6cc7262479 (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - この作品、私のどストライクな作品です！！もう更新してくれないのでしょうか？続き楽しみに待ってます！ (2018年10月28日 14時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
Kizuna(プロフ) - アリスさん、コメントありがとうございます！！！ヘ(≧▽≦ヘ)♪ そう言って頂けるととても嬉しいです…！前回更新からだいぶ長いこと時間があいてしまいましたが、またちょこちょこ書いていきますので、よろしくお願いします(*≧∀≦*) (2018年1月19日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kizuna | 作成日時：2017年4月9日 16時
