番外編[桜と月の下で��] (※3000,4000hit記念) ページ10
切ない声がした。
かつてないほど柔らかく優しいのに、願いが絶対に叶わないと知っている響き。
胸が、詰まった。
「────でも、忘れないでね」
こちらを振り向いたAが微笑む。
優しく。なのに、今にも泣き出しそうに。
きっと俺には見えていないと思っている。
…………あるいは、この夜のなかでは朧気になると油断して。
「それでも、私達は帰らなきゃいけないんだ。いつまでも“ここ”には居られない。本当の身体は向こうにあるんだから、苦しくても現実(リアル)で生きていかなきゃいけないってことを、キリトは覚えていて」
どうか。
と、ひどく透明な声が繰り返す。
澱むことを知らない清水のように。
なのに今にも砕け散りそうな硝子にも似て。
「キリトだけは、忘れないで。…………絶対にリアルに帰って、君の人生を、“生きて”」
＊
「あ、いたいた！ おーい二人とも！！」
「……リズ達だ。準備、終わったみたいだね」
そう言って、Aが立ち上がり。
こちらに歩いてくるみんなに向かって大きく手を振る。
「……こっち。レジャーシートは受付で貰った」
「そんなのまであるの！？ 気合い入ってるわね、このイベント」
「でも良かったー。せっかくの料理を地面に広げるのはちょっと嫌だったから、嬉しい」
「でも、この大きさだと料理をのせるだけで精一杯かもしれないです……」「キュウ……」
「まーそれなら俺たちは地べたでいいさ。ダンジョン攻略中は、よくあることだしな！」
「俺も気にしないぞ。それより酒を置かせてくれ」
「おいおい、凄い量だな！？ エギル。どんだけ飲む気だよ」
「本当に買い占める勢いだったみたいだゾ。オレっちは止めたんだガ、“今飲まずにいつ飲むんだ！！！”と熱い抗議が入ったのではどうしようもナイ」
「嘘ですね。大方放置した方が面白いとでも思って──」
「ストップ！ ユリエール、それ以上言わなくていいから！！」
どこまでも明るく賑やかに。
騒々しく、準備が整っていく。
そして料理が誰もが手を伸ばしやすい配置に置かれ、全員がカップを持ったところで────
「おほん。ほんじゃま、皆の衆！今夜は飲んで騒いで歌って踊りまくるぞ！！ 第1回《アインクラッドお花見会》に、乾杯！！！」
「「「「「かんぱーい！！！」」」」」
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moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶 - 15-4〜16-7までの流れが、主人公の葛藤と矛盾が鮮明に描かれていて心に刺さりました。この作品面白いので更新頑張ってください。応援させていただきます。 (2018年11月14日 20時) (レス) id: 10e431e9a6 (このIDを非表示/違反報告)
夢巫女 - シリアス大好きです。この二人がこのあとどうなるのか気になります。更新お忙しいと思いますが、頑張ってください。楽しみにしてます。 (2018年11月6日 21時) (レス) id: 6cc7262479 (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - この作品、私のどストライクな作品です！！もう更新してくれないのでしょうか？続き楽しみに待ってます！ (2018年10月28日 14時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
Kizuna(プロフ) - アリスさん、コメントありがとうございます！！！ヘ(≧▽≦ヘ)♪ そう言って頂けるととても嬉しいです…！前回更新からだいぶ長いこと時間があいてしまいましたが、またちょこちょこ書いていきますので、よろしくお願いします(*≧∀≦*) (2018年1月19日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kizuna | 作成日時：2017年4月9日 16時
