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取り巻きに至っては、E隊とキリト、アスナで十分だったためG隊をメイン戦場支援に回せたほどだ。
(……このまま、いければ……っ)
祈るような思考が頭を過る。
それが届いたように前線で歓声が上がり、ボスのHPゲージがついに最後の一本になる。
それを成し遂げたF・G隊が後退し、
代わりに全回復を終えたC隊がボスに向かって突進していく。
……その先頭で、騎士ディアベルの青髪が、薄闇のなかでも鮮やかに煌めいた。
その背に鳩笛(オカリナ)を吹き鳴らす。
パラメータ強化──私があげられる唯一のバフ効果“攻撃力上昇”の光を見にまとい、C隊がボスに飛びかかる。
あっという間にボスのHPが危険域(赤)に落ち。
コボルド王がその武器を持ち替えて────
(え…………?)
「だめだ、下がれ! 全力で後ろに跳べ────!!!!!!」
私が、ボスの武器に違和感を覚えるのと。
背後でキリトが絶叫するのはほぼ同時だった。
……けれど、そのすべては。
ボスが始動させたソードスキルのサウンドエフェクトにかき消され。
カタナ専用ソードスキル、重範囲攻撃《旋車》。
それに合わせて迸った6つのライトエフェクトは鮮やかに赤く……最前列に居たためにまともに喰らったC隊の血柱のように見えて。
誰一人、動けなかった。
……それがボスの追撃を許し、正面で倒れる青髪の騎士が狙われ、そして。
──視界を灼く色鮮やかな色彩。
──空気を振るわす強烈な衝撃。
絶望的なまでに、すべてがクリティカルだと分かる威力で攻撃を受けて、ディアベルが吹き飛ばされる。
最後方でセンチネルの相手をしていたキリトのすぐ近くに、ほとんど突き刺さるように落下して。
「………………、」
何か、伝えるように。
キリトを見上げる彼の唇が動いて。
…………次いで、その姿が砕け散った。無数の欠片が爆散する。
(な、んで…………?)
そして、私は。
奇妙なほど真っ白な思考のなかで。ただ────
“……お願いだ、A。あの世界を……”
“ああ、約束するよ。───のために、アイツが普通の人みたいに元気に走り回れる世界を……”
“────俺が、開発するから。出来上がったら三人で遊ぼうな、A”
…………そう言って微笑んだ、あの人が。
この世界を歪めなければ────────
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Kizuna(プロフ) - わあああすみません!!!ご指摘ありがとうございます(>o<") (2017年3月7日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
ネムム(プロフ) - オリジナルフラグを外してくださいねー (2017年3月7日 13時) (レス) id: 2bd2d16489 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kizuna | 作成日時:2017年3月3日 20時