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「そんな二人を見込んで頼みがあるんだ。《森の秘薬》クエ、やってるよね? 僕も参加させて欲しいんだ」
驚いた。
彼はβテスターらしい。私達と同じに。
「え? でも──」
「いや違うよ!? いまからパーティーに入れてなんて図々しいことは言わないよ。ただ、確率ブーストに乗っからせてもらえないかなって……」
言いながらそれも大概だと思ったのだろうか、声が小さくなっていく。
「……ごめん。やっぱり無理だよね」
「い、いや、そんなことないよ! それに俺達もパーティーを組んでるわけじゃないんだ」
「そうなの? 君達知り合いみたいなのに、なんで??」
「それは……」
キリトがちらっと私を見る。
つられて少年もこっちを窺うが、無言でプイッと顔を背けた。答える気なんてない。
「ま、まぁ、とにかく俺は構わないよ。ここで狩りたいなら好きにしたらいい」
「あ、ありがとう。もちろん最初のキーアイテムは譲るから。僕はコペル、しばらく宜しく」
ほっとしたように表情をゆるめて、コペルが右手を差し出す。
握手に応じながらキリトも名乗った。
「よろしく。俺はキリト」
「……キリト……あれ、どっかで……」
コペルが首を傾げる。
何か記憶に引っかかるものがあるらしい。
キリトが慌ててその思考を遮るように言葉を続ける。
「人違いだよ。さあ、がんがん狩ろうぜ。他のプレイヤーが追いついてくる前に《胚珠》を出さないと」
「う、うん。そうだね。頑張ろう」
頷き合い、間近で固まる二匹のリトルネペント目掛けて走り出す二人。
名乗らなくてすんだことにホッとしながら私も後を追った。
そうして三人で協力して斃し続けるも、花つきは一向に出てこない。
……延々と続く戦闘に疲労ばかりが蓄積され、 ウンザリしかけた頃。
やっと、チューリップに似た巨大な赤い花を戴くリトルネペントがPOPした。
「…………────!!!」
声にならない雄叫びをあげて駆け出しかけた私達は、けれど獲物に飛びかかる寸前で急ブレーキを余儀なくされる。
その花つきが向かう方向に、よりによって危険極まりない<実つき>が居たからだ。
それも、2匹も。
「……どうする……」
キリトが掠れ声で、半ば独り言のように呟く。
迷っているのだろう。当たり前だ。あの実はいわゆる“罠”で、割るとまず助からない。
けれど、コペルが動き出してしまった。
すれ違い様に低く囁く。
「……行こう。僕が<実つき>を押さえる。キリトたちは速攻で<花つき>を斃してくれ」
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Kizuna(プロフ) - わあああすみません!!!ご指摘ありがとうございます(>o<") (2017年3月7日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
ネムム(プロフ) - オリジナルフラグを外してくださいねー (2017年3月7日 13時) (レス) id: 2bd2d16489 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kizuna | 作成日時:2017年3月3日 20時