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翔side
そこに示された通りに向かったある一室。扉の前に立ちすくみ、大きく息を吐いた。
翔(…よし。)
呼び鈴を押すと、壁一枚隔てた向こう側でガサゴソと物音が聞こえてくる。「はい。」と気だるげな声とともに開く扉。それを支える逞しい腕からは、水が滴っている。きっとシャワーでも浴びていたんだろうな。
奴は俺の顔を見ると、目を丸くして二、三度瞬きした。
ヒソカ「翔…？」
翔「…どーも。」
そりゃそうだよな。あの日からロクに顔合わせたことなんてなかったし。
「これ。」とぶっきらぼうに差し出したのは、例のハンカチ。「あ、ありがとう。忘れちゃってたんだね。」と奴は分かりやすく動揺した様子だ。適当な世間を済ませて、あろう事か知らん顔で逃げ切ろうとしている。
翔(…ったく。)
ただでさえ虫の居所が悪かった俺は、そんなはっきりしない態度に益々苛立ちを募らせた。相変わらず馬鹿力だなんて思いながら、閉められようとしていた扉を静止させた。
ヒソカ「ん？」
翔「……姉ちゃんに何したんだよ。いつもの様子が嘘みたいに萎れてて、理由を聞いても話そうとしない。」
ヒソカ「…。」
翔「そのハンカチだって、姉ちゃんがお前は会いたがらないだろうって言うから俺が持ってきたんだ。」
ヒソカ「悪かったよ、手間をかけさせて。」
翔「謝るのは俺にじゃないだろ。」
ヒソカ「…はぁ。」
おいコラ、溜息をつきたいのはこっちの方だっつーの。何年アンタら二人の当て馬にされてると思ってるんだ。
言いたいことは山程あるけど、言っても無駄な事なので我慢した。
翔「…じゃ、俺帰るから。」
戸に置いていた右手を元に戻し、踵を返す。と、今度は左手を奥に引かれる。
…まったく、今度はなんだってんだ。
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かにかま(プロフ) - 音かなでさん» コメントありがとうございます。ヒソカの弱い面ばかり描写していたので、魅力が表現出来ているのか不安でしたがそう言って頂けて嬉しいです！勿体ないお言葉をありがとうございます。 (2020年3月20日 11時) (
レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
音かなで(プロフ) - 面白かったです！ラストとかヒソカすごくカッコよかったです！！翔くん大っ好きです！レオリオとかヒソカの恋愛小説って難しいんじゃないかって私思ってたんですけど、さすがかにかまさんですね！これからも、無理せずに頑張ってください！ (2020年3月19日 22時) (レス) id: 73c7ce9b4a (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - mikuri1024さん» コメントありがとうございます。お褒めに預かり光栄です(^^) ふふふ、今後の展開につきましてはお楽しみに…！ (2020年3月19日 1時) (レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
mikuri1024(プロフ) - おっ、これはヤンデレ展開くるか！？お気に入り登録して待機せねば！設定がとても好きです。応援してますね！ (2020年3月18日 22時) (レス) id: e18f624388 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 加奈さん» コメントありがとうございます。本家様の足元には到底及びませんが、暇つぶし程度に楽しんで頂けたら幸いです(^^) (2020年3月16日 16時) (レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時：2020年2月26日 20時
