【H×H】僕は飛べぬ鳥【ヒソカ】

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翔「ねぇ、姉ちゃんコレ何？」


「え…？」


翔「洗濯カゴに紛れてた。」


表の方から駆け込んできた翔の右手には、色鮮やかな布切れが握られている。



あれは……








ヒソカ「そろそろ帰るよ。ラムネご馳走様。」



「あ、うん。手伝ってくれてありがとうね。……って、ハンカチ忘れてるし。」








あ、そうかあの時ヒソカが忘れて行ったハンカチだ。いつの間にかタンスの隅っこに片付けられてたんだなぁ、なんて。




「ヒソカのだよ。この間忘れて行ったみたい。」



翔「ちぇっ、アイツかよ。」




返さなくちゃいけないけど、きっと私が返しに行ったところで彼は受け取ってはくれないだろう。物に罪はないというのに、このまま主人の元に帰ることが出来なかったら気の毒だ。



「渡しに行ってくれない？」そう頼むと、翔はあからさまに怪訝な表情を浮かべる。




翔「何で俺が。」


「わ、私は忙しいからさ。渡しに行けないのよ。」



翔「客居ないじゃん。」



「………色々あるの。」



翔「…。」




「まぁ、気が向いたらな。」と呟いて、売り物の醤油煎餅を咥えると草履を履いて通りへ出る。



「翔？」


翔「夕飯の買い出し。店番は一人で大丈夫だろ？」


「あ、うん。」



颯爽とシャッターを潜り抜け離れていく我が弟。ズボンのポケットからはみ出た色鮮やかな布切れに、彼のさり気ない優しさを感じた。



(…翔、アンタって本当に出来た弟ね。)

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