CC-3.00 ページ6
翌日の基礎薬学の講義。被験動物を用いた、簡単な薬品実験が課せられた。
勿論のこと、隣にはあの男が居る。
「…。」
レオリオ「何だよ、そんな不満そうに。」
「…別に。」
不満そうなのではない。
確実に不満なのだ。
彼だってその理由を知っているだろうに、まるで何も気にしていないかのように実験を進める。
(そうよね、私だって気にしちゃ駄目だわ。)
出来るだけ彼の方を見ないようにしながら、私も実験に取り掛かることにした。
*
左手には確かにマウスの生命の重みを感じる。
…何てつぶらな瞳なんだろう。
もう一方の手に持った注射器の針を向けることに、罪悪感が芽生えるくらいに。
でも、これ如きで躊躇してなど居られないのだ。
(……えぃっ！)
ごめんなさい、ミスターマウス。
貴方の命は無駄にはしないわ。
瞑った目をそぅっと開ける。気にしていない様子の鼠。
教科書によれば、後十分もしない内に毒が巡り筋肉硬直を引き起こすのだという。
ずっと掌で温めていたものだから、彼は私に懐いて愛らしい鳴き声を発する。私の所為で死んでしまうとも知らずに…。
「…。」
必要以上に悪い事をしてしまった気分だ。
レポートも書かずにそれを見つめていた私を不思議に思ったのか、レオリオ・パラディナイトは何か言いたげにしていた。
「何か。」
レオリオ「どうしたんだ、ぼうっとして。」
「いくら勉強の為とはいえ、罪悪感があるな…と思って。」
レオリオ「…へぇ。」
そう呟くと、彼はまたレポートに目を移した。私は、何となくミスターマウスを手放しがたく思えて、彼が息絶えるまで手の内におさめていた。
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かにかま(プロフ) - ミユミユさん» コメントありがとうございます。関心を持っていただけたようで何よりです。 (2020年4月18日 21時) (
レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
ミユミユ(プロフ) - とっても面白かったです！！ レオリオてなかなか見ないので、この作品を見て気になってきました！！ (2020年4月17日 17時) (レス) id: c90b9e15eb (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 音かなでさん» コメントありがとうございます！わわっ、勿体ないくらいのお褒めの言葉とても嬉しいです。そして、愛を感じていただけて何よりです笑 誤字は私もしょっちゅうしてしまいます。気になさらないでください。次回作も宜しければ、お付き合いくださいませ。 (2020年2月24日 21時) (レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
音かなで(プロフ) - あっすいません、文がおかしくなってました…“いつも楽しく読ませていただいてます”でした！失礼しました (2020年2月24日 21時) (レス) id: 73c7ce9b4a (このIDを非表示/違反報告)
音かなで(プロフ) - あー面白かった！！かにかまさんって、キャラクターをちゃんと理解してくれていて読んでいて気持ちがいいです。ハンターハンターへの愛を感じますwいつも楽しみに読んでいただいてます。これからも頑張ってください！ (2020年2月24日 21時) (レス) id: 73c7ce9b4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時：2020年2月11日 20時
