#218 ページ32
ただ一人呆然としていると、勢いよく扉が開く音が響いた。
「皆…何で……」
突然現れた三人の姿に、張り詰めていた何かから解放されたような感じがして涙が溢れ出た。
ゴン「A…辛かったね。」
「＿＿＿かも。」
ゴン「え？」
「クラピカが＿＿＿＿私の所為で…駄目かも。」
三人は床に横たわる姿を確認すると、目を丸くした。慌てるゴンとキルアをよそに、レオリオは形相を変えて近くに駆け寄った。そして、私の胸倉を掴んで言った。
レオリオ「諦めるなよ！何のためにコイツがこうなったと思ってるんだ…！俺達が信じなかったら命だって答えちゃくれねぇ！」
「！？」
レオリオ「まだ脈はある。クラピカは俺が担いでいくから、お前は落ち着いてから来い。」
慌ただしく去っていくレオリオ達。
部屋には私とキルアが取り残された。
しばらくの間、彼は柄にもなく私の背中をずっと摩ってくれていた。
*
キルア「＿＿＿落ち着いたか？」
「…うん。」
太陽はもう南中に聳えている。
随分長い間こうしていた様だ。
口数少ない私を気遣って、彼は勝手に話を始める。
キルア「ガエタノは洗脳してたんだ。」
なるほど、それなら何で冴えない初老の男の為に女性達が集まったのか納得がいく。
キルアはベッドの横に配置された手帳のようなものを手に取ると、パラパラと捲った。
キルア「それから奴は念使い。ほらここ。」
“丑三つ時から夜明けまで。朝日とともに我が物に。”
暫くの沈黙の後、キルアはそっぽを向いたまま言葉を続けた。
キルア「俺直ぐに保身に走っちゃうからさ、何時でも簡単に裏切っちまいそうで苦手なんだ、信じること。」
「…うん。」
彼の言いたいことは大いに分かった。
現に私もそう思っていたからだ。
クラピカに真っ直ぐな思いを向けられる度に、ノストラード邸を抜け出したあの日の事を思い出しては自己嫌悪に浸っていた。
キルア「でも、違う言葉に置き換えてみたらしっくり来た。」
「違う言葉…？」
キルア「“待つ”」
「待、つ…？」
キルア「待つんだよ、何時までも。
もう一度振り返ってくれるその日まで。」
妙に落ち着くその言葉を繰り返すと、重要な何かにあと少しで気付ける様な気がした。
「(どうやって入って来たの？)」
キルア「(正面突破。)」
「(門番倒したの！？)｣
キルア「(あぁ、腕相撲でな。ゴンが。)」
「(…。)」
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あ - 本当に良い作品でした…名作。。完結お疲れ様でした。2024年ですが (1月16日 1時) (
レス) @page40 id: b41e70529d (このIDを非表示/違反報告)
ありす - もう泣きましたよー！素敵な物語ありがとうございました。お疲れ様です (2022年7月15日 0時) (レス) @page49 id: c887a79125 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけたようで何よりです(^^) お返事遅れてしまいすみません。 (2022年7月8日 0時) (レス) @page49 id: a48c4b505b (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 読んでいく度に続きが気になって夜更かししてまで読んでました笑めっちゃ面白かったです！！これが初めての作品だと…？！文才、めっちゃありましたよ…！今更ですが、完結お疲れ様でした！かにかまさんの他の作品に行ってきます！ (2021年5月28日 18時) (レス) id: 21a845e247 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - るきさん» 素敵なコメントありがとうございます。最近はH×Hに疎遠になってしまっているのですが、いつか機会があったらまた書きたいなと思っています。気長に待っていただけたら嬉しいです(^^) (2020年11月18日 10時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時：2019年12月15日 7時
