番外編#4 曇りなき眼 ページ43
ゾルディック家に務めてから数年経った。環境にも慣れて、すっかりその生活が身に馴染んできた。
クラピカ達のことを吹っ切れたかと問われれば、完全にはそうでは無い。
だけど、彼の隣以外にも居場所を見つけたので以前よりかは少し心に余裕を持つことが出来ていると思う。
アルカ「これ読んで。」
「いいよー。」
最近はよく読書をする。彼女は、王子様とお姫様が出てくるお話が好きなようで、私は毎日のようにそれを読んであげるのだ。
そして、今日の物語は白雪姫。
王子が悲しむ小人達に声を掛けた辺りで、彼女はボソッと呟いた。
アルカ「あたしにも王子様来るかなぁ…。」
(そっか、こんなに山奥の小屋にずっと閉じ込められてるんだものね。)
自分もそれなりに変わった育ちをしてきたこともあって、変に感情移入してしまう面があった。
「大丈夫、きっと来るよ。アルカちゃんはこんなに可愛くて優しい子なんだから。」
そう言うと、彼女はいつもの調子を取り戻して笑った。
アルカ「じゃあ、頑張って王子様来るまで待つ！」
「そうそう、女は辛抱強くなきゃ！」
また本の続きに目を落として、ページを捲った。
「＿＿＿めでたしめでたし。」
アルカ「ねぇねぇ、白雪姫って何歳？」
「えー…姫だから16、7歳くらいかな。」
アルカ「Aちゃんは？」
「……20歳です。」
「なんで結婚してないの。」と言わんばかりの視線を向けてくるので、思わずタジタジになって目を逸らしてしまった。
アルカ「王子様に会った？」
「会ってないかな、多分。」
アルカ「えー…じゃあ好きな人はいた？」
「ま、まぁそれなりに……」
また目を逸らそうとすると、今度はガッシリとその両腕を掴まれてキラキラした目で見つめられる。
アルカ「じゃあ恋したことあるの！？」
「こっ、恋……！？」
アルカ「恋ってキラキラしてて、凄く幸せなものなんでしょ。ママがそう言ってたよ。」
そんなに素敵なものだったっけか、と顎に手を当てて思い返してみる。
確かに、つまらないことやありきたりなものでも、彼が隣に居さえすれば三割増して輝いて見えた。
ほんの一瞬でも声を聞くことが出来れば、胸が大きく高鳴った。
でも、醜い自分が居ることに気付いてひたすら自己嫌悪に陥った。
「うーん…凄く苦しかったなぁ。」
正直にそう伝えると、彼女は不思議そうな顔をしてふーん、と呟いた。
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かにかま(プロフ) - カカオお豆さん» コメントありがとうございます。私の中でイルミは策士であって欲しいので、少し頑張ってみました笑 勿体ないお言葉をありがとうございます。 (2019年12月15日 7時) (
レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - イルミン賢いですな笑ヒソカに念の強い人が要るって言ってるけど実はキルアをおびき寄せるっていう笑これを考えたかにかまさん賢すぎ(*_*)ｽﾝ (2019年12月15日 5時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ももさん» 貴重な初コメをありがとうございます。勿体ない位のお言葉ですが、ご期待に添えますよう頑張りますね！ (2019年11月28日 21時) (レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 初コメです！最初らへんから拝見しておりました！かにかまさんのこの作品、大好きです！通知が来る度にウキウキしております！頑張ってください！ (2019年11月26日 18時) (レス) id: ed24bd7751 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時：2019年11月22日 18時
