【H×H】緋の欠片〜独りぼっちの二人編〜【クラピカ】

#175 ページ24

クラピカside



あれから一ヶ月経った。

ありとあらゆる探偵や情報屋に委託したが、依然として彼女の消息は不明だ。



クラピカ「…はぁ。」



センリツ「クラピカ…大丈夫？」



クラピカ「あぁ、気にしないでくれ。」



センリツ「…それじゃあ、次の仕事のことだけど…＿＿＿＿」





配下が一人消えた。
ただそれだけの事でノストラード家が動きを変えることなどあるはずもなく、ただ当たり前のように毎日が過ぎていく。



皮肉なことに、彼女が居ないこと以外には何も変わりがなかった。






*




二ヶ月、三ヶ月と月日を経るにつれて、やがて同僚達は彼女が居ない日常に慣れ始めた。




以前と同じように笑う彼らを見ていると、Aの存在がまるで私の中の空想であったかのようにさえ錯覚してきて恐ろしく、また苛立たしく思えた。





人は皆、その頃から私は変わったと言う。





1に仕事2に仕事、3に仕事に4に復讐。




冷徹な人間になってしまったものだと、溜息を何度落とされたか数え切れない。




また、彼女の失踪から半年を過ぎたあたりから、傷口を抉るように上司から見合い話を勧められることが増えた。





「身を固めてくれ。」「政略結婚してくれれば、ウチの将来も安定だ。」





そう言われる度に、「私にはまだ早いです。」と嘘で塗り固められた返事をする。








クラピカ(“まだ早い”なんてでまかせをよく言ったものだ。もう一生幸せなんて望める身ではないのに。迎える人も帰る場所も、オレには何一つ無いんだ。)

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