【H×H】緋の欠片〜独りぼっちの二人編〜【クラピカ】

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「はぁ…」




部屋に入るなりベッドに飛び込んで、盛大なため息をついた。



さっきまでの彼の優しい顔を思い出すと、自分でもどうしようもないくらいに心臓が突き刺されるような鋭い痛みを感じる。



これが嫉妬って奴か…。




今までろくに恋愛をしたこともないくせに、その醜い感情の名前は何となく分かった。






(彼のことが好きだって気付いてからまだ3日も経っていないのに…。なんて皮肉なことだろう。)






「“結婚”…。」





朧気な印象を覚えるその言葉を口にすると、変に現実に迫っているように思えて、自然と目頭が熱くなってくる。




(何で残念がってるの。私なんかよりお金持ちで、可愛らしくて、美人で…そんな人と一緒になれるなんて、これ以上に幸せなことはないでしょ。)





大切な彼の幸せを応援したいと思う自分がいる反面で、彼の事を独り占めしてしまいたいと欲張る我儘な自分がいた。




その二人の私がまるで漫画でよく見る天使と悪魔のようになって、頭をガンガンと揺らしてきた。








「あー…本当に面倒くさいな、私って。」







枕に顔を埋めてバタバタと足を動かしたけど、悶々と湧き出す自己嫌悪と嫉妬心が掻き消されることは無かった。

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