検索窓
今日:18 hit、昨日:12 hit、合計:131,241 hit

#50 ページ7

ゴンは私達に見向きもせず、真っ先にイルミの元へ向かった。




ゴン「お前はキルアに何をしたんだ。」



そう言ってイルミの腕を強く握る。

静かな講堂に、ミシミシと骨が軋む音が谺響する。




イルミ「あぁ、君がゴンか。」


ゴン「キルアに何をしたかって聴いているんだ。」


イルミ「兄として当然のことをしたまでさ。」


ゴン「ふざけるな!!」



自分よりもずっと背が高くて力もある相手に、臆することなく怒りをぶつけるゴン。


その目はきっと闇を知らない。



自分よりも体格が良い者にねじ伏せられ、力がある者に体を弄ばれ…きっとそんな経験したことなんて無いんだろうな。




自分が傷つくことを恐れて、何も出来なかった無力な自分を彼に重ねてみると、何だか惨めな気持ちになった。



私は自己防衛本能だけは人一倍強いみたいだ。





クラピカ「大丈夫か、A?何だか思い詰めた顔をしているが。」



「あはは 大丈夫だよ。」



クラピカ「…嘘つけ。」



作り笑いして答えた強がり。

バレることなんてないと思ってたからこそ、彼女が呟いたそれに驚いて何も言えなかった。




(何でクラピカは私の事分かるんだろう。
何でクラピカは私の事心配してくれるんだろう。)




クラピカ「__どんなことがあっても仲間だ。変に気を遣わなくていい。」



私の心を見透かしていたのか、彼女はそう言った。


「仲間…。」


その言葉の意味を確かめるかのように呟いた。


(私は彼らの事を仲間だと思っていた。でも、彼らまで私の事を大切に考えてくれているなんて、思いもしなかった。)



本来は【仲間】ってやつは、お互いに大切に思い会える人のことを指すのだろう。


__だけど、私は大切に思ってもらうことに慣れていなかった。


これまでの私は「母の人質」というモノでしか無かったから、「A」という人間として扱われることに違和を感じているらしい。



(どうしてこんなに簡単なことに気づかなかったんだろう。)




そんな温かい存在が出来たのは人生で初めてのことで、仲間という言葉を確かめる度に胸の奥がむず痒くなった。




(…決めた、私のことを全部話そう。)




彼らだったら私の全てをきっと受け入れてくれる。




(ヤツらに見つかるまで…せめてそれまでは一緒に居たい。)




*


私は皆みたいに強くなりたい。




自分の弱さと戦える強さが欲しい。




そして、大切な仲間の為に自分を犠牲にできる強さが欲しい

#51→←#49



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (69 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
165人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユーハ(プロフ) - 凄く良いですよね!私も大好きです。 (2020年11月7日 20時) (レス) id: b943d98333 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ユーハさん» コメントありがとうございます。はい、旧ハンターの声優さん達が大好きなので入れちゃいました(^^) (2020年11月6日 20時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
ユーハ(プロフ) - HUNTERHUNTERの舞台の話も入れてるんですね!とっても楽しいです。体調に気をつけて更新頑張ってください! (2020年11月6日 18時) (レス) id: b943d98333 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます(^^) ご期待に添えますように頑張りますね! (2019年8月20日 3時) (レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年8月20日 0時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/  
作成日時:2019年8月16日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。