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ゴンは私達に見向きもせず、真っ先にイルミの元へ向かった。
ゴン「お前はキルアに何をしたんだ。」
そう言ってイルミの腕を強く握る。
静かな講堂に、ミシミシと骨が軋む音が谺響する。
イルミ「あぁ、君がゴンか。」
ゴン「キルアに何をしたかって聴いているんだ。」
イルミ「兄として当然のことをしたまでさ。」
ゴン「ふざけるな!!」
自分よりもずっと背が高くて力もある相手に、臆することなく怒りをぶつけるゴン。
その目はきっと闇を知らない。
自分よりも体格が良い者にねじ伏せられ、力がある者に体を弄ばれ…きっとそんな経験したことなんて無いんだろうな。
自分が傷つくことを恐れて、何も出来なかった無力な自分を彼に重ねてみると、何だか惨めな気持ちになった。
私は自己防衛本能だけは人一倍強いみたいだ。
クラピカ「大丈夫か、A?何だか思い詰めた顔をしているが。」
「あはは 大丈夫だよ。」
クラピカ「…嘘つけ。」
作り笑いして答えた強がり。
バレることなんてないと思ってたからこそ、彼女が呟いたそれに驚いて何も言えなかった。
(何でクラピカは私の事分かるんだろう。
何でクラピカは私の事心配してくれるんだろう。)
クラピカ「__どんなことがあっても仲間だ。変に気を遣わなくていい。」
私の心を見透かしていたのか、彼女はそう言った。
「仲間…。」
その言葉の意味を確かめるかのように呟いた。
(私は彼らの事を仲間だと思っていた。でも、彼らまで私の事を大切に考えてくれているなんて、思いもしなかった。)
本来は【仲間】ってやつは、お互いに大切に思い会える人のことを指すのだろう。
__だけど、私は大切に思ってもらうことに慣れていなかった。
これまでの私は「母の人質」というモノでしか無かったから、「A」という人間として扱われることに違和を感じているらしい。
(どうしてこんなに簡単なことに気づかなかったんだろう。)
そんな温かい存在が出来たのは人生で初めてのことで、仲間という言葉を確かめる度に胸の奥がむず痒くなった。
(…決めた、私のことを全部話そう。)
彼らだったら私の全てをきっと受け入れてくれる。
(ヤツらに見つかるまで…せめてそれまでは一緒に居たい。)
*
私は皆みたいに強くなりたい。
自分の弱さと戦える強さが欲しい。
そして、大切な仲間の為に自分を犠牲にできる強さが欲しい
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ユーハ(プロフ) - 凄く良いですよね!私も大好きです。 (2020年11月7日 20時) (レス) id: b943d98333 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ユーハさん» コメントありがとうございます。はい、旧ハンターの声優さん達が大好きなので入れちゃいました(^^) (2020年11月6日 20時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
ユーハ(プロフ) - HUNTERHUNTERの舞台の話も入れてるんですね!とっても楽しいです。体調に気をつけて更新頑張ってください! (2020年11月6日 18時) (レス) id: b943d98333 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます(^^) ご期待に添えますように頑張りますね! (2019年8月20日 3時) (レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年8月20日 0時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時:2019年8月16日 17時