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クラピカside
Aが目を覚ます 20分前のことだ。
試合を終えた私は、ヒソカの元へ向かった。
『蜘蛛についていいことを教えてあげよう。』
試合中に耳打ちされた その言葉の真意を確かめる為に。
*
他人の試合に関心を向けることなんてさらさらないアイツは、中庭のテラスで外を眺めていた。
ヒソカ「やぁ♤」
クラピカ「蜘蛛について聞きに来た。」
私が警戒心を強めて睨みつけると、彼は「全く怖いなぁ」と言っておどけて見せた。
ヒソカ「奴らはヨークシンシティーで9月に開かれるオークションに参加する予定だ。」
ひと通り彼の説明を聞き、私が立ち去ろうとすると後ろからトランプが1枚飛んできた。
クラピカ「まだ何か?」
ヒソカ「嫌だなぁ、君に情報を与えるだけなんて不公平じゃないか。今度は僕が質問する番だよ♡」
柱に突き刺さったスペードの3を引き抜いて束の中に戻す。
その一連の動作が心音と相まってとても重く感じられた。
ヒソカ「___君はAの何だい?」
発せられた予想外の問いに目を丸くした。
クラピカ「__仲間だ。」
地面を踏む足に力を込めてそう返すと、彼は顔色を変えずに言葉を続けた。
ヒソカ「仲間ねぇ…。
まぁAが満足してるなら何でもいいんだけど_____彼女を悲しませたら殺すよ。」
放たれた殺気は、最終試験で目の当たりにしたヒソカとは比べ物にならないほどの強さで 思わず後ずさりしてしまった。
クラピカ「試験中から気になっていたのだが、お前はAの___」
ヒソカ「Aは、僕の人生で唯一 殺さないと心に誓った人間だ。」
殺さない?あのヒソカが?
遮るように放たれたその言葉は、思っていたよりもずっと人間的な愛に染まっているように感じた。
ヒソカ「僕 イルミに文句を言うって大事な用事があるから、そろそろお暇するよ♣」
クラピカ「あ、あぁ。」
文句を言う…というのは、恐らくイルミが投げた毒針のせいでAが気絶したこと、あるいは彼のせいで骨折してしまったことを指しているのだろう。
手をひらひらとさせながら、闘技場から離れた所へ向かうヒソカの後ろ姿を見つめた。
クラピカ(やはり彼とAの関係性はただの知り合いなんかじゃない。…彼女は本当にそれを知らないんだろうか。)
彼が角を曲がって姿が見えなくなっても、うざったいほどに心臓は鼓動を刻んでいた。
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ユーハ(プロフ) - 凄く良いですよね!私も大好きです。 (2020年11月7日 20時) (レス) id: b943d98333 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ユーハさん» コメントありがとうございます。はい、旧ハンターの声優さん達が大好きなので入れちゃいました(^^) (2020年11月6日 20時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
ユーハ(プロフ) - HUNTERHUNTERの舞台の話も入れてるんですね!とっても楽しいです。体調に気をつけて更新頑張ってください! (2020年11月6日 18時) (レス) id: b943d98333 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます(^^) ご期待に添えますように頑張りますね! (2019年8月20日 3時) (レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年8月20日 0時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時:2019年8月16日 17時