【忍たま】日々平凡【短編】 (ページ25)

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「はい、手当て終わり。」

「ありがとう。」

「どういたしまして。次は怪我しないようにね。」

「はーい」

いつの間にか巻き終わっていた包帯。

片付けられた薬。

伊達に保健委員を三年やってないな、なんて呑気に感心していたのも束の間、スパーンッと何の前触れもなく勢いよく襖が開かれた。

「げ、作兵衛。」

「A！おめぇ怪我したって本当なのか！」

「本当と言えば本当だけど、」

「何処で？誰にやられた？」

「廊下で藤内とぶつかって……＿＿」

「よし、藤内をシメればいいんだな。」

「わーっ、待って待って待って！！」

何とか引き留めることには成功したけれど、依然として彼の釈然としない面持ちは変わらないまま。

「どうして一人で校舎裏に居たんだ？」

作兵衛本人にだけは言いたくはなかったが、致し方ない。何しろ同級生の命が懸かっているのだから……。

「私、作兵衛に頼ってばっかりだから、もっと強くならなきゃって思って……」

「それで鍛練を？」

「…………、………。」

「はぁ……お前って奴は本当に………」

一瞬目を丸くしたと思えば、くしゃくしゃと自身の頭巾を引っ掻くようにして彼はしゃがみこんでしまった。壁にずるずると緑色が擦れる。

「作兵衛……？」

怒らせてしまったのだろうか。不安になって覗き込もうとすると、顔の前に手を押し付けられてしまった。

「っぶ、何すんの。」

「寧ろこれ位で済んでることを有り難く思え。」

「えー？」

孫兵の時のように同意を仰いでみたが、やっぱり数馬は苦笑いするだけだった。