四-夏 ページ32
#オオダワラ城 地下廊
この頃になって、穏やかだった相模の地も血腥さを纏うようになってきた。
西のちょっとした戦火が尾を引いて、じわりじわりと此方まで流れてきたのだ。
長年の平穏が失われつつあることに上司達は日々不満を漏らしていたが、戦の多い西の地で生まれ育ったAにとっては皮肉なことに懐かしさを感じさせた。
今日も今日とて、彼女は与四郎と共に城の警護に当たっていた。
与四郎「戦に慣れない城はけしからねぇ。」
「確かにこんなのは忍にやらせる仕事じゃないですね。」
与四郎「全くだ。こんなの足軽の方がよっぽど向いてる。」
不法侵入者の見回りだなんて、彼ら以上に適任はいるはずなのに。
そう文句を言いながら双手に分かれて地下廊を進む。
「……！」
突き当たり右側、丁度忍装束を着た子供が居るのに気付いてAは目を丸くした。
この辺りなら風魔流忍術学校の生徒かと思われたが、その制服の色は明らかに彼らを象徴する白ではない。
それに、どこかで見たことがあるような………
(…あ、忍術学園の……！)
驚いた顔と目が合って漸く気付いた。
恐らくは夏休みの課題か何かをしていたのだろう。こんなピリピリした時期にこの城を設定されるとは不運な忍たまだ。
後ろに視線をやる。
与四郎の姿なかった。
Aは怯えてる少年に手を伸ばし立ち上がらせると、裏口の方を指差した。
「此処を真っ直ぐ行けば出られるから。」
少年「えっと貴女は……」
「忍術学園の卒業生」
少年「あ、ありがとうございます！」
ひらひらと手を振る。
少年の後ろ姿が見えなくなった頃に、Aは振り返った。
あぁ、やはり隠れていたのか。この勝手な行為にはもう取り返しが着かないということを知る。
「与四郎先輩」
与四郎「身内には随分甘めぇんだな。」
与四郎は胸元に手を忍ばせる。
Aも同じように手をやる。
与四郎「……先代からお世話になってるこの城を裏切ることはできねぇ。」
「私だって私の信条を裏切りたくありません。」
交わる冷たい目と目。
昨日の敵は今日の敵。
忍とは何か、
強さとは生きる術とは
残酷なまでに教えてくれるのは、この暫しの睨み合い。
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いちごのヘタ - 面白すぎて一気読みしました！何年も前の作品ですが、コメント失礼します！ (12月12日 17時) (
レス) @page45 id: 508422f3b7 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - こんにちは！！ これ面白かったです！！ 続きが、、、どうなるのやら気になるwww (2022年7月10日 21時) (レス) @page45 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 今日一から読みはじめて読み終わりましたが、とても素敵な作品でした。！！完結から一年経っていますがそれでもおもしろく、全員のキャラが立っていて素晴らしい作品でした。！楽しませていただきありがとうございました！ (2021年12月22日 12時) (レス) @page45 id: 005af4cbb4 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 蒼葉碧さん» はじめまして、こんにちは。わーーー、モブシリーズの蒼葉さんじゃないですか……！まさか読んでいただけてるなんて(;_;) 勿体無いお言葉をありがとうございます。今後も気まぐれな更新となりますが、お付き合い戴けたら嬉しいです。 (2020年9月2日 9時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - こんにちは。完結おめでとうございます！とても素敵なお話でした^ ^これからも応援しております。季節の変わり目ですのでくれぐれもご自愛ください。 (2020年9月2日 5時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a062/
作成日時：2020年8月18日 23時
