母のような ページ14
五限目の教科の授業を終えて渡り廊下を歩いていると、少し先にある練習場で的を射ているAの姿があった。
久々知(熱心だな………)
彼女と話すようになったのは五年生になってからだが、それ以前から名前は知らずとも存在は何となく知っていた。こうして鍛練に励む彼女の姿を見ることが度重なったから。
当時から、人並みに目で追う位には印象的なくのたまだった。
教科書を抱えたまま立ちすくんでいたことを思い出して長屋の方に向かおうとすると、不意に誰かの視線を感じ振り返った。
シナ「あらあら」
久々知「や、山本シナ先生……」
口許に手を当てて、ニッコリと微笑ましいものを見るように笑う。
………恐らくは兵助とAとの交際を知っているのだろう。
兵助はまるで義理親に挨拶をしているかのような心持ちがして、変にドギマギするのであった。
シナ「ふふふ、可愛いでしょ。」
久々知「ま、まぁ……」
シナ「昔から人一倍頑張り屋さんなのよ。一つも当たらなくてもめげずに、ずっと努力してきたの。」
その横顔はとても温かくて、Aがいかに愛されているのかが見てとれた。
両親と幼くして別れた彼女からしてみたら、シナ先生が母親のような存在なのかもしれない。そして、それは逆もしかり……
久々知「先生はずっとAのことを見てらしたんですね。まるで母上のように。」
シナ「！…………勿論。可愛い教え子ですもの。」
心なしか驚いた様子のシナ先生。
何か不味いことをしただろうかと尋ねようとすると、丁度二人分の視線に気付いたらしいAがこちらに駆けてくる。
「あー！！見てるなら言ってくださいよ！」
シナ「あらごめんなさい。集中していたものだから。」
「もう……」
去り際に、シナ先生は兵助の肩にポンと手を置いて呟いた。
シナ「あの娘なりによく考えているから……もう暫く待ってあげて。」
久々知「？は、はぁ…」
なんのことだろう。
首をかしげる兵助を、Aは訝しげに見た。
「シナ先生に何か言われたの？」
久々知「いや、特には……」
じんわりと滲む汗、湿度の高い空気。
もうすぐ夏休みだな、と兵助は呟いた。
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いちごのヘタ - 面白すぎて一気読みしました！何年も前の作品ですが、コメント失礼します！ (12月12日 17時) (
レス) @page45 id: 508422f3b7 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - こんにちは！！ これ面白かったです！！ 続きが、、、どうなるのやら気になるwww (2022年7月10日 21時) (レス) @page45 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - 今日一から読みはじめて読み終わりましたが、とても素敵な作品でした。！！完結から一年経っていますがそれでもおもしろく、全員のキャラが立っていて素晴らしい作品でした。！楽しませていただきありがとうございました！ (2021年12月22日 12時) (レス) @page45 id: 005af4cbb4 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 蒼葉碧さん» はじめまして、こんにちは。わーーー、モブシリーズの蒼葉さんじゃないですか……！まさか読んでいただけてるなんて(;_;) 勿体無いお言葉をありがとうございます。今後も気まぐれな更新となりますが、お付き合い戴けたら嬉しいです。 (2020年9月2日 9時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉碧(プロフ) - こんにちは。完結おめでとうございます！とても素敵なお話でした^ ^これからも応援しております。季節の変わり目ですのでくれぐれもご自愛ください。 (2020年9月2日 5時) (レス) id: 63148b8798 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a062/
作成日時：2020年8月18日 23時
