今度こそ ページ6
放課後、火薬庫の前を掃いていた兵助は向こうからAがやって来るのに気付いた。
備品のトイレットペーパーを両手に、辺りを見回し右往左往している。
恐らくは、保健委員の手伝い中だが、忍たま長屋の何処へ運ぶのか分からない……といった所だろうか。
急に駆けていくのは何だか気恥ずかしいから、もし火薬庫の前にまで来たら声を掛けよう。
そう約束して、兵助はちらりとAを伺う。
こちらまであと三丈、
二丈、
一丈…＿＿＿＿
久々知「藤、何を…＿＿＿」
言い掛けた所で、偶然蔵から顔を出したタカ丸が兵助の先を行った。
タカ丸「あ、Aちゃん。そんなにトイレットペーパーを抱えてどうしたの？」
「タカ丸さんこんにちは。三四年生の長屋まで運んでほしいと言われたのですが、迷ってしまって……」
タカ丸「すぐそこだし案内するよ。」
「わっ、ありがとうございます。」
「半分持つよ。」と、明らかに半分以上のトイレットペーパーを受け取ってタカ丸は去っていく。
何てスマートなんだろう。
あれこそがモテる京男の所以なんだろうか。
久々知(……また、声掛けられなかったな。)
兵助はぎゅっと、竹箒を握る力を強めた。
.
三日に一度の備品管理を終え、幾分か冷えるようになった火薬庫を出て後輩たちは大きく伸びをする。
伊助「んー……今日も疲れたなぁ。」
三郎次「そんなに働いてない癖に。」
伊助「何でそんなこと言うんですか。」
久々知「まぁまぁ…」
喧嘩が勃発しそうになる二人を宥めていると、後ろから駆ける音が聞こえてくる。
振り返えれば手を振るタカ丸がそこに。
三郎次「タカ丸さん！どこ行ってたんですか。」
タカ丸「ごめんごめん。ちょっと急用ができちゃって。」
三郎次「もう…」
彼が戻ってきたということは、Aも無事運び終わったということだろう。
久々知(今度こそ……)
委員会を切り上げると、早々にタカ丸が来た方向へと踵を返した。
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かにかま(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます。ご期待に添えますよう精進いたしますね(^^) (2020年7月19日 15時) (
レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - まだまだ続きが楽しめるなんて嬉しいです…！受験とのことで無理なさらず…陰ながら応援しています (2020年7月18日 21時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます。勿論、アイ・アム・独身と言えなくなる日まで書くつもりでいます。実は、書きたい展開の二つくらいしか書けていないのです……。今後ともよろしくお願いします(^^) (2020年7月18日 10時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - 毎日更新楽しみに読ませていただいています。ネタバレになってしまうといけないのですが、名前を呼んでくれてキュンとしました。ここまで来たら独身→既婚になるまで読みたいなぁ、なんて…。じれったい関係はずっと続くのか！？続きも楽しみにしています！ (2020年7月18日 8時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます。ゆっくりですが、きっと真っ直ぐに向き合える日がくると思うので、その日までお付き合いよろしくお願いします！ (2020年7月14日 13時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a062/
作成日時：2020年7月5日 19時
