は組の洗礼（2） ページ5
不破「兵助、助けてあげたら？」
久々知「…あぁ。」
そっと兵助が立ち上がろうとしたのと同時に、実習帰りの六年生がぞろぞろと食堂に入って来た。
そして、勘右衛門と視線を交わし、なにやら状況を察したらしい伊作が間に入ってAを庇った。
伊作「こら。Aが困ってるじゃないか。」
しんべヱ「あー、伊作先輩だぁ！」
乱太郎「伊作先輩、実習お疲れ様です。」
伊作「ありがとう。」
物腰柔らかく、人当たりの良い伊作は、低学年に最も慕われる六年生の内の一人だ。
突然現れた彼に、一年生達は益々興奮を募らせる。
庄左ヱ門「六年生の実習は何処で何をなさっていたんですか？」
しんべヱ「美味しいもの食べましたか？」
団蔵「何で腕を怪我してるんですか？」
金吾「あ、足もだ。」
伊作「どうどう。質問は一人ずつね。」
伊作は盆を手にすると、自然とAの隣の席に腰を落とした。
伊作「失礼するよ。」
「はい。気を遣って頂いてありがとうございます。」
伊作「Aに素直にお礼を言われるのは、少し気味が悪いなぁ。」
「失礼ですね。」
伊作「ははは」
兵助はパッと目を逸らし、上げた筈の腰をまた降ろした。
竹谷「……いいのか？」
久々知「解決したみたいだからな。」
問題ない、と口では言うものの、八左ヱ門の目には心なしか彼が苛立っている様に見えた。
「「「「ご馳走さまでした。」」」」
久々知「……ご馳走さまでした。」
帰り際に、勘右衛門は盛り上がるは組と伊作とAの机の前で立ち止まった。
尾浜「子沢山ですね。」
伊作「はは、そう見えるかい？」
「ふふふ、何それ。」
久々知「…。」
自分と夫婦だと言われた時にはきっぱり否定していたというのに、伊作と同等の扱いを受けた時には否定しないのか。
…それどころか、楽しそうに笑うのか。
そんなことが胸につっかえて、兵助は複雑な表情を浮かべたまま食堂を後にした。
竹谷「兵助……」
ただ一人、八左ヱ門だけがその微細な変化に気付き、心配そうに兵助を見つめた。
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かにかま(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます。ご期待に添えますよう精進いたしますね(^^) (2020年7月19日 15時) (
レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - まだまだ続きが楽しめるなんて嬉しいです…！受験とのことで無理なさらず…陰ながら応援しています (2020年7月18日 21時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます。勿論、アイ・アム・独身と言えなくなる日まで書くつもりでいます。実は、書きたい展開の二つくらいしか書けていないのです……。今後ともよろしくお願いします(^^) (2020年7月18日 10時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - 毎日更新楽しみに読ませていただいています。ネタバレになってしまうといけないのですが、名前を呼んでくれてキュンとしました。ここまで来たら独身→既婚になるまで読みたいなぁ、なんて…。じれったい関係はずっと続くのか！？続きも楽しみにしています！ (2020年7月18日 8時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます。ゆっくりですが、きっと真っ直ぐに向き合える日がくると思うので、その日までお付き合いよろしくお願いします！ (2020年7月14日 13時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a062/
作成日時：2020年7月5日 19時
