まるで獲物 ページ11
#忍術学園近郊 雑木林
七松「いけいけどんどーん！」
「……はぁ。」
慣れというのは恐ろしいものだ。
ぎゃーとか、わーとか色々叫んでいたけども、もうすっかりこの振動にもスピードにも驚かなくなってきた。
何度目か分からない溜め息を着いた時、ついに久しぶりの太陽の光を浴びることになった。
急な眩しさに目をしかめる。
反対側に居てよく見えないけど、七松先輩以外にも数人の忍たま達が居るのが分かった。
七松「滝！今何周目だ？」
滝夜叉丸「七周目ですが………それよりそちらの方は？」
七松「？さぁな。塹壕堀りしてたら拾った。」
滝夜叉丸「は、はぁ。」
(あ、体育委員会の皆さんか。)
七松先輩の肩に担ぎ上げられたまま抵抗しない私の顔を、低学年の三人が不思議そうに覗き込んだ。
そして近寄るなり、金吾君が大きな声をあげる。
金吾「あーー！！A先輩じゃないですか！」
七松「あり…？金吾の知り合いか？」
金吾「えぇ、まぁ……」
三之助「もしかして体育委員会に入るんですか？」
七松「歓迎するぞ！」
「丁重にお断りします。」
滝夜叉丸「止めてさしあげてください。」
間髪入れぬ否定とその擁護に七松先輩は首を傾げた。
保健委員会や火薬委員会ならまだしも、体育委員会に入れられたりなんてしたら一溜りもない。
一日も経たない内に全身筋肉痛、加えて再起不能になってしまいそうだもの。
「……そろそろ降ろしてくれませんか。恥ずかしいんですけど。」
七松「ははは、細かいことは気にするな。」
「えぇ……」
宙ぶらりんになったまま困惑していると、二年生の制服を着た子が何か言いたげに此方を見た。頭に疑問符を浮かべて首をかしげると、慎重に話し始めた。
四郎兵衛「あのぅ、今は七松先輩の言う通りにした方が言いと思うんだなぁ。」
「どうして？」
金吾「僕達、今から裏裏山までランニングに行くんです。」
三之助「着いてくるのは難しいと思います。」
「………そっかぁ。」
だったら尚更早く降ろしてくれと言いたい所だが、こんな雑木林の中にひとり取り残されてしまっても、生憎忍術学園への帰り道が分からない。
(……こんなことに巻き込まれるなんて、やっぱり保健委員会の不運が伝染りつつあるのかしら。)
はぁ、とため息をまた一つつく。
仕方なく、もう暫くは七松先輩の肩で揺られたまま。
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かにかま(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます。ご期待に添えますよう精進いたしますね(^^) (2020年7月19日 15時) (
レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - まだまだ続きが楽しめるなんて嬉しいです…！受験とのことで無理なさらず…陰ながら応援しています (2020年7月18日 21時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます。勿論、アイ・アム・独身と言えなくなる日まで書くつもりでいます。実は、書きたい展開の二つくらいしか書けていないのです……。今後ともよろしくお願いします(^^) (2020年7月18日 10時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
j061191(プロフ) - 毎日更新楽しみに読ませていただいています。ネタバレになってしまうといけないのですが、名前を呼んでくれてキュンとしました。ここまで来たら独身→既婚になるまで読みたいなぁ、なんて…。じれったい関係はずっと続くのか！？続きも楽しみにしています！ (2020年7月18日 8時) (レス) id: ad5fefd1f8 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - j061191さん» コメントありがとうございます。ゆっくりですが、きっと真っ直ぐに向き合える日がくると思うので、その日までお付き合いよろしくお願いします！ (2020年7月14日 13時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a062/
作成日時：2020年7月5日 19時
