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案内されたのは石造りの一軒家。
店主妻「ちょっと待ってな、話通してくるから。」
(はい、お願いします。)
どうやら知り合いらしい家主と井戸端会議を始める。私の雇用よりも先に出てきた話題は、夫の愚痴だ。それは、どうも主婦同士のコミュニケーションには必須らしい。
店主妻「…__で、この子を働かせてくれないかって思ってさ。」
女「あぁ、構わないさ。」
(いいんですか!?)
女「はは、驚いた顔してるね。分かりやすい子だ。」
*
女将「…しかしまぁ、本当に話せないんだね。」
("はい、ごめんなさい。ですから接客は向いていないと思うんです。")
メモ帳に書いた文字を眺めては、丁寧な返事をくれる。
暫く唸った後、彼女は立ち上がって奥の部屋に案内してくれた。
女将「ウチは仕立て屋さ。そんでもって、ここが作業部屋。」
(仕立て屋さんかぁ…。)
女将「アンタ、裁縫はできるかい。」
(はい。)
女将「それじゃ決まりだね。アンタにはちょっとした裁縫を任せるよ。明日の十時から十七時まで。昼は出してやるから食べてきな。」
(ありがとうございます!)
女将「…ありがとうって言ってるのかい?ふふふ、女ひとりで暇してた所だ。礼を言いたいのは寧ろ私さ。」
これが私と女将さんの初めての出会いだった。初対面の私にも気さくに話し掛けてくれる人だから、きっと楽しく働けるんだろうな。
そう胸に期待を膨らませて、お願いしますとお辞儀をした。
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金糖の少女 - 恋愛感情で動きを変えないという解釈…!!わかります!!自分も同じ解釈なんですけど恋愛小説ともなると難しいのでどうしても解釈不一致な作品ばかりになってしまうんですよね…(急募 語彙力) (12月15日 16時) (レス) @page46 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます。シリアスなシーンが多い彼なので、創作の中だけでもほっと一息つける瞬間があって欲しいなと思い書きました(^^) お返事遅れてしまいすみません。 (2022年7月8日 0時) (レス) @page49 id: a48c4b505b (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - めっちゃ面白かったです!読み終わったあと、心があったかくなった感じがしました笑 (2021年5月27日 9時) (レス) id: 21a845e247 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 凛太さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです(^^) (2020年11月11日 10時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
凛太 - めちゃ読みやすかったし、面白かったです!!! (2020年11月11日 6時) (レス) id: caca9cc888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時:2020年4月12日 1時