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#42 ページ43

クラピカside



暫く走り回ると、見慣れた後ろ姿を見つけた。



クラピカ「A!!」



ピタリと止まり振り返る。


…が、私の顔を見ると逃げ出した。



クラピカ「おい、待て!」



また暫く走り回って、漸く細い左腕を掴んだ。

肩で息をする二人。

はぁはぁ、と音のない声がこだまする。



落ち着いた頃に、「どうして逃げたんだ。」と尋ねると彼女は申し訳なさそうに俯いたまま言った。


「…分からない。」


クラピカ「じゃあさっきの言葉は?」


「分からない。」


クラピカ「何かを揶揄していたのではないか。」


「分からないよ!!今日の私、何だか変なの。一人にさせて…。」



彼女は私の手を振り払ってまた逃げ出そうとする。そんなに頼りない力で、拙い体力で…いつまでも背丈を競った二人のままではないというのに。

もう一度追い付いて、Aの腕に触れた。今度は逃げられないようにと、後ろから包み込むようにして彼女の動きを封じた。



「……ッ!?」


クラピカ「気付いてしまったんだ。お前のことを手放したくないということに。」


「…。」


クラピカ「それから、お前も…Aも、私から離れることを望んでいない。……そうじゃないのか?」



Aは黙り込んでしまった。

あまりにも沈黙が続くので、私は何だか不安になって「少なくとも私はあの時の言葉をそう受け取ってしまったのだが。」と、付け加えた。



暫くして彼女は言う。



「…そう、かも。」


クラピカ「……………そうか。」



気まずい空気を誤魔化すように、パッと手を離し離れようとする。

…と、今度はAが私の腕を掴んで元の体勢へと戻した。



クラピカ「A?」


「……しばらくこのままがいい。」



そう呟くAの耳はとても赤い。


不意にそうやって可愛らしいことをするものだから、思わずその赤みが私にまで伝染してしまった。

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金糖の少女 - 恋愛感情で動きを変えないという解釈…!!わかります!!自分も同じ解釈なんですけど恋愛小説ともなると難しいのでどうしても解釈不一致な作品ばかりになってしまうんですよね…(急募 語彙力) (12月15日 16時) (レス) @page46 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます。シリアスなシーンが多い彼なので、創作の中だけでもほっと一息つける瞬間があって欲しいなと思い書きました(^^) お返事遅れてしまいすみません。 (2022年7月8日 0時) (レス) @page49 id: a48c4b505b (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - めっちゃ面白かったです!読み終わったあと、心があったかくなった感じがしました笑 (2021年5月27日 9時) (レス) id: 21a845e247 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 凛太さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです(^^) (2020年11月11日 10時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
凛太 - めちゃ読みやすかったし、面白かったです!!! (2020年11月11日 6時) (レス) id: caca9cc888 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/  
作成日時:2020年4月12日 1時

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