#23 ページ24
瑠璃色の布を捻じる様にしてミサンガを作ることにした。シンプルな深青の線と真ん中を通る一つの木製のビーズ。
思ったよりも上手く作り上げることが出来て、早くクラピカが帰ってこないかな…なんて待ちわびていたこの頃。
完成から一週間過ぎた頃に、彼はまた帰って来た。
(おかえり!お友達…どうだった?)
クラピカ「ただいま。無事再会できたぞ。」
重い鞄を下ろし、荷物を整理しながら彼はそう言った。心做しか、身体付きが以前よりも逞しくなったような感じがした。
(…背中大きい。)
赴くままに背中に抱きついてみると、彼は驚いたのか肩をビクッと震わせた。
クラピカ「な、な、な、何のつもりだA。」
(やっぱり筋肉質だね。くっつくと良く分かるよ。)
クラピカ「……そうか。特訓の賜物だな。」
はぁ、と溜息をつくクラピカ。曰く、「外ではそんなことするなよ。」とのこと。
よく分からないけど、他人には抱きつかない方がいいらしい。
(えー、何で駄目なの?)
クラピカ「何でも駄目だ。」
ぐーっと私の体を押し返してそう言う。
珍しく彼のペースを崩せたことに、ほんのちょっとだけ優越感を覚えた。
…それにしても、何だか寂しい気分だな。
クラピカが変わっていっちゃって、私から離れていくみたいな感覚。
急に寂しさを覚えると同時に、いつかのようにまた私の頭を電撃が走った。
(……!?)
少年1「じゃあ、行ってくる。」
少年2「……A?」
「…私も行きたかったな。」
少年2「Aを危険な目には合わせられないよ。僕と××が君を守れるくらい強くなったら、絶対に一緒に外に行ってあげるから、ね?」
「…うん。」
少年1「それに、Aはおっちょこちょいだもん。絶対バレちゃ……」
少年2「こら、××!すぐそうやってひねくれたこと言うんだもん!」
「××の馬鹿。」
少年1「はぁ!?」
少年2「はぁ……出発当日まで喧嘩するなんて、君達は相変わらずだね。」
まただ。
全く身に覚えがないのに、妙に懐かしさを覚える映像が脳裏をよぎる。
クラピカ「…A?」
(な、何でもないよ。)
クラピカ「…。」
怪訝な表情を浮かべたクラピカ。勿論だけど、彼以上に納得がいかないのは他の誰でもない私自身だった。
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金糖の少女 - 恋愛感情で動きを変えないという解釈…!!わかります!!自分も同じ解釈なんですけど恋愛小説ともなると難しいのでどうしても解釈不一致な作品ばかりになってしまうんですよね…(急募 語彙力) (12月15日 16時) (レス) @page46 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます。シリアスなシーンが多い彼なので、創作の中だけでもほっと一息つける瞬間があって欲しいなと思い書きました(^^) お返事遅れてしまいすみません。 (2022年7月8日 0時) (レス) @page49 id: a48c4b505b (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - めっちゃ面白かったです!読み終わったあと、心があったかくなった感じがしました笑 (2021年5月27日 9時) (レス) id: 21a845e247 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 凛太さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです(^^) (2020年11月11日 10時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
凛太 - めちゃ読みやすかったし、面白かったです!!! (2020年11月11日 6時) (レス) id: caca9cc888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時:2020年4月12日 1時