【H×H】Silent【クラピカ】

#22 ページ23

帰宅するや否や勝手にクラピカの本棚を漁って、ホコリを被った世界地図を引っ張り出す。



(太平洋……あった！)



いくつかの小さい島々を挟んで、大きな二つの大陸を繋ぐところにそれはあった。世界の西の果てと東の果ての架けるのが、「平和で穏やかな海」即ち太平洋だ。



(へぇ…。)



クラピカもそんな遠い所まで行っているのかな。


ふと思い浮かべた彼の顔に、色々考えてみる。


何してるのかな

ご飯ちゃんと食べてるのかな

お友達と仲良くしてるかな



…って、クラピカのお母さんじゃないんだから。



地図帳の上に、譲り受けた十センチ平方の端切れを重ねてみた。



(世界の果てにはこんなにも綺麗な色で、広大な海があるんだ。
…どんなに遠くへ行ったとしても、無事でありますように。私はいつだってこの場所で待ってるから。)




…よし、決めた。


彼が無事帰って来れるように、この布でお守りを作ろう。


きっと効果は抜群だ。


なんてったって、世界の端と端を結ぶ平和な海の色なんだから。




その時の思いつきにしか過ぎなかったが、急に一人になった私の暇を潰すには丁度いいものだった。

#23→←#21

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す