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クラピカside
「夕飯まで、に、帰ってきてね。」
クラピカ「あぁ。」
竹刀片手に家を出て、いつもの空き地で素振りをする。思えば、ここの所一人きりになることが殆ど無かったかもしれない。
シュッ、シュッ
風を切る音。
いつもよりも歯切れが悪いように感じられる。
クラピカ「…。」
また風邪がぶり返したんだろうか。
……いや、違う。心当たりならあった。
もうAは口を聞けるんだ。
あと数ヶ月もすれば、きっとより円滑に舌が回るようになるはずだ。
そうなってしまえば、私が彼女の隣に居る意味など無くなってしまうのではないか?
私は色々と厄介な領域に足を踏み入れてしまったし、いつ死ぬか分からない。
そんな落ち着かない存在が近寄っていては、彼女にとって幸せな未来は遠ざかるばかりだ。
ただでさえ私達は辛い思いをしてきたんだ。
だったら、これから先の数十年くらい平穏でいさせてあげたい。
クラピカ(カンタ…とか言ったっけ。)
きっとAと共に居るべきなのは、あの少年の様に素朴で純粋な存在。
クラピカ「…チッ」
分かっていた。そんな単純なこと。
それを分かった上で旅団への復讐を誓ったんだ。
だが、何故だろう。
モヤモヤとした感情は、依然として胸の内から消え去ることを知らない。
ふつふつと湧き上がる苛立ちに、私はまた舌打ちした。
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金糖の少女 - 恋愛感情で動きを変えないという解釈…!!わかります!!自分も同じ解釈なんですけど恋愛小説ともなると難しいのでどうしても解釈不一致な作品ばかりになってしまうんですよね…(急募 語彙力) (12月15日 16時) (レス) @page46 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - ひぃさん» コメントありがとうございます。シリアスなシーンが多い彼なので、創作の中だけでもほっと一息つける瞬間があって欲しいなと思い書きました(^^) お返事遅れてしまいすみません。 (2022年7月8日 0時) (レス) @page49 id: a48c4b505b (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - めっちゃ面白かったです!読み終わったあと、心があったかくなった感じがしました笑 (2021年5月27日 9時) (レス) id: 21a845e247 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 凛太さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです(^^) (2020年11月11日 10時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
凛太 - めちゃ読みやすかったし、面白かったです!!! (2020年11月11日 6時) (レス) id: caca9cc888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時:2020年4月12日 1時