血濡れブラウス(非売品) ページ7
「さぁ、今日はアメアリシカロ語の神話を訳すか。」
そう呟くとお気に入りのコーヒーとクッキーを用意して、PCに向き合った。
自分で言うのもなんだが、私はその道では結構有名な翻訳家だったりする。
小さい頃から外国語や海外の文化に触れることが好きで、晴れて翻訳家になるという夢を叶えた後、数年前までは都会の出版社で働いていた。
しかし、忙しい生活は自分にはあってなかったようで、自分らしい言葉を紡ぐ為にとこうして田舎の山奥に職場兼住居を借りることになったのだ。
カタカタとキーボードを叩いていると、不意に視線を感じる。
イルミ「やぁ。」
「…あ、どうも。」
またお前か、と言いたくなる気持ちを押し殺して挨拶すると、どうやら彼の服に大量の血が付着しているらしいことに気付く。
「…オシゴトオツカレサマデス。」
イルミ「うん?ありがとう。」
やっぱり…本当の本当にそっち側の人だったんだなぁ。
私の反応に首を傾げた後、彼は自身の腹部に付着した血痕を見て「あぁ、そういう事ね。」と呟いた。
イルミ「暴れるから飛び散ったみたい。珍しく手こずっちゃった。」
「は、はぁ…」
彼は机に積まれた洋書の数々を不思議そうに眺めた。
イルミ「何これ、本?」
「はい。見てもいいですけど汚さないでくださいね。」
数冊のうちの一つを手に取ると、それをパラパラと捲った。確か東の国で書かれた昔話だったっけか。
イルミ「…これ何語?」
「それはジャポン語です。」
イルミ「へぇ…。」
次に、緑色の背表紙の本を取って彼は尋ねた。
イルミ「これは?」
「それはジェルマニ語です。」
また違う冊子を手にして尋ねた。
イルミ「…これは?」
「ネデラン語です。」
彼の相手をしながらも、締め切りに追われている私はキーボードを叩く手を止めない。遂には彼が質問を止めたので、盤を弾く音しか聞こえなくなった。
作業が終わる頃には、彼から向けられた興味の視線にも慣れていた。
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かにかま(プロフ) - セナさん» コメントありがとうございます。誉められて伸びるタイプなので、そう言って頂けて嬉しいです笑 (2020年6月6日 20時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
セナ(プロフ) - あまりに面白くて一気読みしてしまいました!素敵な作品をありがとうございます! (2020年6月6日 19時) (レス) id: 9a1a35c746 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - たまご登りさん» コメントありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです(^^)ソイヤッ (2020年4月28日 2時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
たまご登り - めちゃくちゃ良いですね!!!!コミカルさもありつつちゃんと展開がされているところに作者様の賢さが見受けられました!!とても楽しくキュンキュンしながら拝読しました(^o^)ソイヤッ (2020年4月27日 0時) (レス) id: 080b2c3a82 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - わちこさん» コメントありがとうございます。応援して頂けたてとても嬉しいです(^^) (2020年4月24日 2時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時:2020年3月22日 17時