16 涙 ページ17
先生が車のドアを開けてくれて、乗り込もうとした時だった。
座席に置いてある、一枚の写真。
先生と、綺麗な女の人のツーショット。
この前乗った時には、なかったのに。
写真の中の先生は、私には向けたことのない、幸せそうな笑顔で。
今にも涙がこぼれ落ちそうだった。
ショックで、頭が真っ白になった。
「先生…これ、誰ですか？」
写真を手に取り、震える声で聞く。
有『ああ、付き合ってるんだ。』
「…え？彼女、いたんですか？」
有『うん。』
結婚してない…って言ってたけど、この人とするのだろうか。
考えたくもないことが頭をめぐる。
「…知らなかったです。言ってくれたらよかったのに。。」
なに、意味わからないことを言ってるの。
違うの、そういうことが言いたいんじゃなくて。
有『…え？』
「すいません、今日は1人で帰ります。」
有『あ、ちょっと待ってよ、高田さんっ！！』
呼び止める先生の声なんか知らないとばかりに、走り出した。
溢れる涙が止まらなかった。
私って、ほんとわがまま。どうしてあんなこと言ってしまったんだろう。
そりゃ、先生にだって彼女くらいいてもおかしくない。
勝手に好きになったのは私。先生は何も悪くない。
家に帰って、これでもかというくらい泣いた。
…人間の体内って、こんなにも水があるんだ。
って思うくらい、抱えていたクッションはびしょびしょに濡れていた。
✳︎✳︎
作者です！光くん復帰おめでとうございます！！！
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作者名：りりあ | 作成日時：2022年11月6日 15時
