二人の好き。ーMSー ページ6
「あ、やべ」
コーヒーをすすって顔を上げた瞬間、俺はAと目が合った。
「あ、バレちゃったね」
ソンヨルがニヤニヤしながらそう言う。
ジンもこっちを見て楽しそうに笑ってる。
あのバカ、俺がここにいる事バラしやがった…………。
そう思いながら俺は被ってた帽子を被り直した。
「ミョンス？」
顔を真っ赤にしながらこっちを見てるAに、不覚にもドキッとしてしまう。
「Aちゃん、僕、Lさんと話があるから」
そう言ってジンはこっちに近づいてきた。
「どうも、Lさん！」
「どうも」
同い年なのに仕事の立場上なぜかこんな感じになってしまう。
「タメ口でいいよ？」
話しづらくてそう言うと、ジンはなんのためらいもなくタメ口で話し始めた。
「Aちゃん、どう？」
「どうって何が？」
「聞いてたでしょ？」
「だから？」
「Aちゃんの気持ちは分かってるんじゃないの？」
「そんなの最初から分かってる」
嘘。
心のどこかで、自惚れてる俺と、自信のない俺がいる。
どっちかというと自信ない方が勝ってる。
「じゃあどうして？」
「あいつは俺が元カノの事を好きだと思ってる」
「だからって意地張って喧嘩したの？」
すかさずソンヨルがそう言う。
「君たち、見ててホントイライラする」
呆れたようにソンヨルとジンがため息をついた。
「変なとこで怒んないで自分の素直な気持ちをぶつければいいのに」
そんなのよく分かってる。
「とりあえず、両思いなのにこのままで終わっちゃダメだよ？」
「そうだよ！ピニのメンバーも、ジンも応援してるんだよ？！」
「あーはいはい分かったから」
もし俺にもう一度チャンスが与えられるとしたら、これが最後になるだろうな。
そう思いながら俺はコーヒーカップに目を落とした。
俺もAも、今度こそお互いに、自分自身に素直になれるかな？
もう諦めたくない。
このままで終わりたくない。
後悔したくない。
素直になりたい。
俺はゆっくりと席を立って、Aの席に向かった。
もう言い訳なんてしない。
綺麗事なんて言わない。
どんな手を使ってでも、全力でAの全てを奪う。
そう決意して俺はAの席の前に立った___________。
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作者名：抹茶 | 作成日時：2017年3月21日 3時
