女子高校生と彼6 ページ45
「え……。な、何で……何で殺さないの…?」
先を歩いていた総悟は、ゆっくり振り返ると
「もう三つお前の願い事は叶えた。用が済んだから、それだけでィ。」
「え、……ちょ、ちょっと…。その、余命一年…は…?」
「Aならもう殺しやした。」
雨に濡れながら、よく分からないことを言って笑う総悟の考えが掴めない。
「ちょっと待ってよ………。生きて…るんだけど、私……。」
どういうこと。
「俺ァ、“一年前のA”を殺したんでィ。」
「……………一年前の私…?」
「疲れて、死んだ眼して、おまけに死にてェなんざ馬鹿なこと考えてるおめーを殺したんでィ。」
“今日は、ちゃんとソイツが死んでるか確認しに来ただけだ。”と総悟は、目をみて言った。
「俺ァ、今にも死んじまいそうな…んな面見るのは、もうごめんなんでィ。」
“だから、もう死ぬなんざ言うな。”
総悟の言葉に、私は気がつけば目から雨を流していた。
「泣いてる女殺るほど俺ァ鬼畜じゃねェしな。」
「泣いて…っ…うっ……なんか……ズ…、ないもん…っ…。…雨だし…っ…。」
「嘘ばっかり。」
そう言うと、総悟は黒い傘を取り出して私にさした。
「それに、お前にこの傘さしてやるのが俺の役目でィ。」
「この傘…。」
見覚えのあるその黒い傘は、あの時のように優しく、総悟の手によってさされた。
“でも、お前が雨降らしちゃこの傘でもしのげねーや。”
総悟は、私の目から流れた雨を親指でぬぐった。
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夕鈴(プロフ) - ぱるむさん» ぱるむさん、コメントありがとうございます!返信遅くなってしまい、申し訳ありません。お楽しみ頂けたようで、何よりです♪まさか、完結に4作品分もかかると思ってませんでした…。グダグダでしたが、ここまで長きに渡りお付き合い頂き、誠にありがとうございました! (2020年6月22日 16時) (レス) id: 682d5e9ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむ - 完結おめでとうございます!すごく面白かったです! (2020年6月7日 23時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
夕鈴 - チョコさん» チョコさん、コメントありがとうございます^^*課題、大変ですよね…分かります(><)お忙しい中、毎日読んで頂けて嬉しい限りです。次回作は、ほぼ練ってあるので近日中に書き始めると思います。是非是非、訪れてみて下さいね。長きに渡るご愛読ありがとうございました! (2020年5月30日 18時) (レス) id: 682d5e9ca9 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - 初コメです!!完結おめでとうございます!!課題をやらなきゃいけない中でも、夕鈴様の作品は毎日必ず拝読させて頂きました^^次回作も必ずみます!頑張ってください! (2020年5月30日 11時) (レス) id: 44f70498cd (このIDを非表示/違反報告)
夕鈴 - ういさん、コメントありがとうございます^^*楽しんで頂けたようで、何よりです。読者の皆様の存在があってこそ、最後まで書き終える事が出来ました。感謝の気持ちでいっぱいです。ご愛読、ありがとうございました。次回作にもご期待下さい!なんて…(^^; (2020年5月30日 9時) (レス) id: 682d5e9ca9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕鈴 | 作成日時:2020年5月7日 19時