ep.1 ページ1
20××年 _
高校3年生の夏 、海沿いの街 。
私は 1人で浜辺にいた 。
『 もう8時なのにこんな暑いってどういうことよ〜 、、 』
まだ暗くなりたての空と、輝き始めた星を眺めて ギターを手に取る 。
高校での生活なんて あっという間に過ぎて行くもので
私の高校生活も 終盤に差し掛かっていたのである 。
高校3年生の夏なんて あって無いようなものだ 。
進路のことで悩まされては 早く決めろと急かされる 。
『 〜 ♪ 』
波の声 、弦を弾く音 。
大好きなハーモニーがいつでも傍にあった 。
何分経っただろう 。
『 しげ 、いるんでしょ 』
重「 えへ 、バレてた? 笑 」
いつの間にか後ろに来て 何も言わず佇んでいたのは
中学校からの友達 重岡大毅 。
中学入学と同時に、しげは転校してきた 。
とにかくこいつはお調子者で 知り合った当時思春期真っ只中の私には 心底疲れる相手だった 。
聞き慣れない関西弁に よく戸惑ってたっけ 。
重「 いやな 、Aのオカンが 帰り遅い〜いうて 俺に迎えに来させてん 。」
時計を見ると 、もう9時半 。
『うっそ、明日朝から塾だから早く帰らなきゃ、!』
重「 せっかくの土曜日なのに勿体ないなあ
なな 、今日も1曲だけ頼むわ 」
そう言って顔の前で手を合わせる
その顔はちっとも申し訳なさそうじゃないけど
相変わらず憎めないやつ 。
『 ん、終わったらすぐ帰るよ 』
そう言って しまいかけたギターを持ち直して 、弦に指をかける 。
人にはそれぞれ何かしらの才能があって
得意不得意だったり 長所とか短所だったり
そういう風によく言われる 。
私は ギターは弾けても歌は壊滅的に下手だし 、
しげは 私とは真逆 。
まあ、しげに関してはやらないだけなのかもしれないけど 。
私のシンプルな演奏に合わせて歌うしげ 。
自分で言うのもあれだけど 結構いいコンビなんじゃないかなと思う 。
そんなことを思っていたら
重「やっぱり、Aのギターは俺にピッタリやな!」
って、以心伝心か笑
私たちは何時までこうしていられるのかな。
何故かこんな疑問が浮かんだけれど 、考える隙もなく あっという間に消えてしまった 。
帰り道 、黒い部活カバンを背負った大きくなった背中を見て
少し寂しくなったのは 、きっと一生言うことは無いな 。
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作者名:ふじいてぃぴ | 作成日時:2022年5月3日 1時