〈9〉 ページ9
いつでも好きな時に来いと合鍵を貰い、
俺はその日以降、母親に追い出された時には
にいちゃんの家に出入りするようになっていった。
にいちゃんの住むアパートは、
玄関の外に洗濯機があり、
玄関を開けるとすぐ左側に流し台と冷蔵庫。
右側にトイレとお風呂。
そして戸襖を開けると六畳ほどの和室。
そこにテレビとこたつとファンヒーターがあり、たまに布団が引きっぱなしで置いてあった。
そして、ベランダ側のカーテンレールにはいつもツナギが干してあった。
・
・
・
・
ガチャガチャ
母親に追い出され、3日ぶりに来たにいちゃんの家。
部屋に入った瞬間、にいちゃんの香りに体を包まれる。
大好きな場所にようやく来られた安堵感からか、涙が出そうになった。
藤「おじゃまします。‥にいちゃん?」
まだ仕事から帰っていないのか。と肩を落としながら部屋に上がると、コタツ横に畳んで置いてあるグレーのスエットが目に入る。
北『これ太輔のな。ちょっとでかいけど(笑)』
そう言ってくれたにいちゃんを思い出し、ぶかぶかのスエットに袖を通した。
藤「あったかい‥」
コタツの電源を入れ座ると、目の前に菓子パンが置いてあった。
ぐぅ〜
そういえば昨日から何も食べてないことに気付く。
食べ物を見たせいなのか急な空腹感が襲ってきた。
きゅるるる〜
(食べてもいいかな?)
(これ、にいちゃん食べたいかな?)
(どうしよう‥)
ぐぅ〜
しばらく悩んだけれど、
目の前の誘惑には勝てず、ゆっくりと袋を開けた。
藤「ごめんなさい。いただきます。」
もぐもぐと口を動かしながらテレビをつけると、たくさんの女の子達がスカートをヒラヒラとさせ、笑顔で歌っていた。
なんとなくそれをボーっと見ながら、
にいちゃんの帰りをしばらく待っていると、ガチャガチャと鍵を開ける音がした。
(あ、にいちゃんが帰ってきた!)
急いでこたつから出ると、玄関に迎え出た。
418人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いろ果(プロフ) - あこさん» あこさん、初めまして♪コメント有難うございます!泣かせてしまい申し訳ありません(TT)でも、そう言ってもらえてとても嬉しいです!続編も亀更新ながら楽しんで書いていこうと思いますので、引き続きお付き合いいただければ幸いです(´∀`*) (2019年3月11日 16時) (レス) id: 8fe91de33d (このIDを非表示/違反報告)
あこ(プロフ) - いろ果さまはじめまして。心に沁みる素敵なお話に泣きながら一気に読みました。続編も楽しみにしております! (2019年3月10日 22時) (レス) id: 2d7ec12d07 (このIDを非表示/違反報告)
いろ果(プロフ) - tsubakichanさん» ただ、今まで真面目だったのでお遊びで書こうとしておりまして…期待に添えなかったらすみません(汗)またお付き合いいただけるよう頑張りますp(^_^)q (2019年2月10日 20時) (レス) id: 8fe91de33d (このIDを非表示/違反報告)
いろ果(プロフ) - tsubakichanさん» tsubakichanさん、今までお付き合いいただきありがとうございました!そして沢山のコメント、本当に励みになりました(*´∀人)ハピエンをモットーとしているので、藤ヶ谷くんの片思いで終わらせたくなー、と(^^) (2019年2月10日 20時) (レス) id: 8fe91de33d (このIDを非表示/違反報告)
tsubakichan(プロフ) - 久々にドップリはまり込んでいた小説でしたので、終わっちゃう…いやだ!いやだ!寂しい!って、思っていたら、っん!?何やら期待できそうな終わり方だな〜って、続編あるんですね!☆太ちゃんが、どう攻めていくのか…凄く楽しみ!ありがとうございます。 (2019年2月10日 7時) (レス) id: 546497211d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:いろ果 | 作成日時:2018年9月17日 21時